“蝋の魔術師”は使う道具にもひと工夫

実土里さんが教えてもらいたかったことは?
実土里さん
「私がやってみたかったことは、【蝋飛ばし】でした~!」

ねぶた制作には『蝋書き』という工程があります。これは、紙に色付けする前に行う作業で、色が混ざり合うことや色が付くことを防ぎます。蝋が塗られた部分は着色されないため、灯りを入れると明るく見えます。

福士さんがこの工程で取り入れているのは、表情に変化を生み、光りが通ってきらびやかになる『蝋飛ばし』という手法です。

実土里さん
「福士さんのことを個人的に“蝋の魔術師”って呼ばせていただいています。ダイナミックで華やかな蝋使いをぜひ教えていただきたです」

ねぶた師 福士裕朗さん
「いいですよ。私は(蝋飛ばしのことは)“バシャバシャ”って言ってるけど…」
今回、福士さんが制作するねぶたの『波』の部分に『蝋飛ばし』をさせていただきます。

ねぶた師 福士裕朗さん
「これでやります」
そう言って福士さんが見せてくれたのは、福士さん手作りのオリジナル蝋飛ばし器。小さなほうきのようです。これに、電気で溶かした蝋をつけて作業します。

福士さんに手本を見せてもらうと、大小さまざまな大きさの丸や楕円が広がりました。
ねぶた師 福士裕朗さん
「筆でやると一直線にしかいかない。これでやることによって広範囲にいいような感じに蝋が飛ぶ」

実土里さんは、『ねぶたラッセランド』の前に広がる陸奥湾を想像して『蝋飛ばし』に挑戦します。

ねぶた師 福士裕朗さん
「同じ模様は二度とできない。よし、OK!全部に飛ばしてしまうと、色が入らなくなって白くなってしまうから。これが実際に組み立てたときにどこになるのかはあとからのお楽しみだ」
実土里さん
「楽しみにしています」

“シン体験”をさせていただいたあとは、恒例となっている実土里さんが描いた絵をプレゼント。福士さんの『蝋飛ばし』を絵にしたそう。制作小屋の中に飾っていただけることになりました。

実土里さん
「ねぶたの伝統を守りながら新しいことにどんどんチャレンジしてる福士さんですけど、大切にしていきたいことってありますか?」
ねぶた師 福士裕朗さん
「まさに“温故知新”っていう言葉が私は好きなんですけども、古いものにとらわれず、だけども古いものも大事にしながら、何事にも挑戦していきたいと心がけております」

福士さんと実土里さんの合作大型ねぶたは、6月14・15日に『大阪・関西万博』で予定されていた『東北絆まつりパレード』へ出発。雨でパレードは中止となりましたが、会場に展示され観客を魅了しました。

青森テレビ「わっち!!」月~金曜夕方4時25分から
「シン・アオモリ」2025年6月20日(金)放送回
※掲載しているのは放送当時の情報ですので、変更となっている場合があります。