農業改革の方向性
コメの生産に関して『大規模化』が解決策のように言われることが多いが、加藤氏はこれに対しても慎重な見方を示す。
「アメリカなど海外と競争できるほど大規模化できる地域はそう多くありません。中山間地と言われる斜面に水田を作っているところも多い。また、生産効率を上げようとすると、どうしても肥料や農薬をたくさん使うという問題もある」と指摘。日本の地形的特性やコメの作り方を考慮する必要があるというのだ。
「工場と決定的に違うのは、自然の力と調和しながら、自然の力を活かして作るのが農業の基本。土地や気候、さらには歴史風土に合ったものをしないといけない。日本の農業生産はどうしても効率が悪くなる」

しかし、加藤氏は「そこに対する補助金は出していいと思います。“効率が悪い”ということは、環境に対する配慮など必要なことに手をかけているということですから。また、食料安全保障の観点からも、多くの国が農業に補助金を出しています」と話す。
要は「補助金の出し方が重要」と強調する。小規模農家でも、効率だけでなく品質など工夫して一生懸命やっている人には補助金が出る仕組みへの転換を訴える。