焼肉店が農家に直接「コメを売って」

コメ不足が改善されない場合、懸念されるのが“さらなるコメ価格の高騰”だ。

茨城県では6月中旬まで続くという田植えの最盛期を迎えているが、コメ不足が騒がれる中、生産の現場では“ある変化”が起きている。

『夢田ファーム』海老澤信之代表:
「2024年は飼料米も作っていたけど、それをやめて全面的に主食用米を作ってもいいのではないかと」

2024年までは、60ヘクタールのうち▼43ヘクタール⇒食用コシヒカリ▼残り⇒家畜などの飼料米にしていたが、2025年は全てを主食用にするとのこと。
さらに…

海老澤代表:
「いつも来ない業者が『お米をどうか売ってください』と。うちに来てるのは大体フランチャイズ。焼肉屋さんが多い」

提示されたのは【30トン・約1200万円=60キロ・約2万4000円】。
2024年に「JA全農いばらき」が生産者に払ったコシヒカリ概算金(前払い金)【60キロ・1万8000円】を大きく上回っている。

『東京大学』大学院の鈴木特任教授によると、コメ不足を受けまさに“青田買い”状態で、生産者の段階で【60キロ・3万円ぐらい】で取引されているとのこと。

そうなると、「秋に出てくるコメの値段も5キロ・4000円を超える値段になる」(鈴木特任教授)という。

しばらくは、▼通常の4000円台のコメ▼3000円台の備蓄米▼2000円ぐらいの備蓄米が併存するような形になるというが、一方で『夢田ファーム』の海老澤代表は、農家として「2000円の備蓄米」に理解を示しつつも、葛藤もあると話す。

海老澤代表:
「例えば2025年に導入した田植えの機械は560万円。我々みたいに広い面積をやればやるほど機械が傷んでくるから、設備投資はするしかない。全ての資材の価格が上がっているので、いまの単価で我々農家は高いとは思わない。おコメというのは決して安いものじゃない。苗を作るだけでも手間がかかる。田植えまでも手間や経費がかかっている。店頭に並んでいるのが当たり前じゃない