岩手県大船渡市の山火事から3か月。仮設住宅への入居は始まりましたが、未だ瓦礫は撤去されないままです。そんな中、全焼した自宅の再建とともに、「伝統の祭」の復活を目指し奔走する女性がいます。
全焼の自宅も… 変わらぬ光景

山火事から3か月。時が止まったような光景が広がっていました。
今年2月に起きた岩手県・大船渡市の山火事。市の面積の約10%にあたる、およそ3400ヘクタールが延焼し、住宅など226棟が被害に遭いました。

3月の取材で出会った東川今さん(27)。生まれ育った自宅が全焼しました。

東川今さん
「高校の卒業アルバムがあったんですよ。友達からのメッセージ書いてもらってて、それを読み返せないのは、無くしたときに大切だったなって。いざ目の前にすると、もうこの家には帰れないんだなと思って…」
自宅はいま…

Q.初めて見たときと、あまり変わっていない?
今さん
「変わってないですね」
避難指示が解除された日から、そのままでした。
変わらないのはここだけではありません。鉄骨だけになった建物も、そのままの状態で残っていました。

4月から始まった公費解体の受付。今さんの家族も申し込みましたが、まだ開始日は発表されていません。
Q.(ここに新しく家を)建てることは揺るがない?
今さん
「そこは間違いないです。家族とも話して、ここに(再建する)っていうのはもう決まっているので」
今さんが住む綾里地区では、仮設住宅への入居が始まりました。
ここで、祖母らと5人で生活します。

今さん
「冗談も言いながら、楽しく会話しながら、ここで暮らせたらなって思っています」
近所では、山火事をきっかけに、引っ越しを決めた人もいると言います。そんな中、今さんには地元に残る理由があります。
今さん
「(オーナーは)何回か避難したときに、何て言ってましたっけ。荷物一緒に俺運びに行くよみたいな、すごい声とかも(かけてくれて)」
オーナー
「俺言ってた?」
今さん
「言ってましたよ」
オーナー
「かっこいいね」
今さん
「すごく心強かったですよ」

自宅が全焼し、苦しいとき、職場の人たちの存在が支えになったと言います。
大船渡が大好きだという今さん。
Q.なんでそんなに大船渡が好き?
今さん
「やっぱり1人1人、皆さん温かいんですよね。今回も私がこういうこと(自宅が全焼)になったときに、いろんな人からすごい声もかけてもらったし、支援もいただいてたので、どうやったら恩返しができるのかなと考えてたりとかというのがある」