「初めて父に会ったのは刑務所の中だった」

ダビッド・メスギッシュさん
「私が生まれた時、父は刑務所にいました。父は囚人でした」
ダビッドさんによると、父親はマフィアのリーダーで長年、刑務所に収監されていた。初めて父親と会ったのも、刑務所の中。

ダビッドさんは受刑者の家族ということに長い間、恥ずかしさや苦しさを感じてきた。子どもには到底、自分自身の中で消化することができない複雑で酷な環境だった。
その父親はダビッドさんが22歳の時、抗争で殺害され亡くなったという。父親と一緒に過ごしたのはわずか3年間だけだったが、その中で転機となった忘れられない記憶がある。

ダビッド・メスギッシュさん
「ある日、父が刑務所で絵画のワークショップに参加していました。その時初めて、父を囚人ではなく、アーティストとしてみることができたんです」
父親が絵を描く姿を見た日から、ダビッドさんは次第にこう思うようになった。
「自分も芸術家になって、たくさんの人に芸術の良さを伝えたい」

ダビッド・メスギッシュさん
「更生するために罰が必要な人もいます。私は受刑者たちが新たな人生をはじめられるようにしたい」