国は農業現場を知らないのか

ある農家は「農水省は農業現場を知らないのか」と嘆きました。さらに愛知県などでは、主食米だけを都合よく増やすことは難しいという事情もあります。これらの地域では、二年三作という輪作体系が確立しており、農地の半分で主食米、残り半分で小麦と大豆を生産しています。この体系は、農家の仕事を分散させ、効率的な農業を実現するために重要な役割を果たしてきました。

そのため、すでに小麦を栽培している畑で、急にコメを作れと言われても、物理的に対応できないのです。農家からは「国の政策がコロコロ変わっては困る」という切実な声も聞かれました。

また、今年のコメが順調に収穫できるのかという懸念もあります。近年のように高温障害に悩まされることはないのか、カメムシの被害は出ないのか、といった不安は尽きません。実際、去年の新米も地域によっては出来が悪く、収量が伸びなかったといいます。つまり、今シーズンに増産目標を立てても、作柄が悪ければコメ不足を解消することはできない可能性があるのです。