国からの“増産”指示に戸惑いの声

そして、今シーズンの作付面積は前年を2.3万ヘクタール上回り、128.2万ヘクタールに増やすことになったのです。もちろん、この数値は国の示す参考値に過ぎませんが、現場では依然として国からのトップダウンの傾向が強いと言われています。

国からの増産目安は都道府県、さらに各自治体へと伝えられ、それぞれの農家に増産指示として割り当てられる仕組みです。私が取材した愛知県弥富市の農業法人によれば、増産指示が伝えられたのは2月頃だったということです。
しかし、現場からは「2月の段階では遅すぎる」という声が上がっています。その理由の一つが、種もみの不足です。種もみ作りは前年の4月から始まるため、それ以前に増産の指示がなければ、必要な種もみを確保できないのです。

当然ながら、去年4月の時点で増産の指示は出ていなかったため、コシヒカリなど人気品種の種もみは枯渇状態にあるといいます。仮に種もみが確保できたとしても、農薬が足りるかどうか分からないという不安も現場にはあります。