台湾のサイバー部隊が中国に仕掛けた「サイバー戦」とは
台湾では2017年に軍の組織としてサイバー専門の担当部門が設立されました。中国側の指摘によれば、この組織が台湾のハッカーやサイバーセキュリティ企業を取り込み、中国に対しサイバー戦を仕掛けるよう指示し、実行に移したといいます。
具体的な活動内容として、中国側の機密情報の窃取、破壊工作、反プロパガンダ活動などが挙げられていますが、中国側はこれらの活動を全て阻止したと主張しています。
その強硬な姿勢を示す言葉として、「我々の国家安全保障機関は、中国本土における機密を盗むという、無駄なたくらみをすべて掌握した。彼らの『黒い手』をバッサリと切り落とした」という表現が用いられています。
台湾側の警戒感の高まりと中国の牽制
中国が台湾国防部のサイバー部隊を名指しで非難する背景には、台湾の頼清徳総統の決定があります。頼総統は先ごろ、軍事犯罪を一般事件とは別に裁く「軍事審判制度」の復活方針を示しました。
これは、中国側からの台湾軍への浸透を防ぐための措置です。実際、台湾では昨年、中国が関与したとされるスパイ事件で起訴された被告の3分の2が現役・退役軍人でした。
台湾側がスパイに対する警戒モードを一段階上げたことで、中国は今回、台湾のサイバー部門所属とされる4人を公表したと考えられます。しかし、サイバー戦の分野においては、中国が一歩も二歩も先を行っているとの見方もあります。