原発事故で帰還困難区域となった福島県浪江町の津島地区から、福島市に避難している寺があります。元の寺は解体を余儀なくされましたが4月、再建に向けて地鎮式が執り行われました。先代の思いを引き継ぎ、再建を決断した若き住職と住民たちに、その思いを聞きました。

2025年4月8日。お釈迦様の誕生日とされるこの日、よく晴れた津島の空にお経が響きました。ここは、津島地区唯一の寺・長安寺(ちょうあんじ)の本堂があった場所です。原発事故により、解体を余儀なくされました。

その本堂が元の場所に再建されることとなり、この日、檀家の代表たちも参加して、地鎮式が執り行われました。



住職の横山法弘さん。去年、先代の跡を継いで21代目の住職となり、本堂を地元に再建することを決断しました。

長安寺・横山法弘住職「東日本大震災から14年の歳月が経つ中で、再建を待ち望んだ檀信徒のみなさまが、大勢いらっしゃったことと存じます。その中には、先に仏様の世界に入られた先徳も多くおられます。先代、周豊和尚もその1人です。みなの思いを引き継ぎ、一族、役員が和合一致して、きょうこの日を迎えたことは、大変意義深いものがあり、万感の思いでいっぱいです」


この上には、原発事故当時、本堂をはじめ、多くの建物が建てられてました。先代で、法弘さんの祖父にあたる周豊さん。原発事故で各地に散った檀家たちを支えてきましたが、去年、亡くなりました。

原発事故の後、長安寺は福島市に別院を構えています。県内はもとより、県外に暮らす檀家の葬儀や法要にも出向き、お経を唱えてきました。

さらに、もう1つ、長安寺では大切な役割がありました。