「マック」は商品名から広がったとみられる

ところで、日本語で略語が作られる場合、「マクドナルド」の最初の 3 文字をとった「マクド」の方が素直な略し方と言えます。つまり関西での「マクド」は日本語の略語の作り方に素直に従った形と言えそうです。

「デフレーション」が「デフレ」、「コンペティション」が「コンペ」と略されるのもその例ですし、「テレビ」も「テレビジョン」の最初の 3 文字をとった略語です。

日本マクドナルド社は社名のキャンペーンなどで「マック」の呼称を使ったことはないそうですが、「マック」の方が圧倒的に広い分布をすることになったのは面白いことです。おそらく、創業当時から「ビッグマック」「マックフライポテト」など「マック」の入った商品名を扱っていたことで「マック」の略称が広まったということのようです。

 なお、海外では、マクドナルドの略称として、オーストラリア、ニュージーランドは、「マッカーズ」、「マクディーズ」。アメリカでは、ミッキディーズと呼ばれています。

加藤和夫
福井県生まれ。言語学者。金沢大学名誉教授。北陸の方言について長年研究。MROラジオ あさダッシュ!内コーナー「ねたのたね」で、方言や日本語に関する様々な話題を発信している。

参考文献:橋本五郎監修、読売新聞 新日本語取材班(2010)『新聞社も知りたい日本語の謎』KK ベストセラーズ

※MROラジオ「あさダッシュ!」コーナー「ねたのたね」より再構成