“筋書きのないドラマ”が観客の感動を生み出す

―――私もよく野球の観戦に行きますが、普段泣かない息子が試合を見て泣く時があります。そういうシーンをみると「スポーツを見に来てよかったな」って思いますね。
私はサッカーの仕事が長いのですが、おじさんが人目をはばからずウォンウォン泣くのをよく目にしました。怒ることも喜ぶこともあるけど、泣くっていうのはそれだけ感動した、心を動かされたということ。普段はきっと真面目に仕事をしていて泣く姿なんて見せたことのない人たちが、人前で泣いたりしますからね。これってすごい力だと思いますね、スポーツって。
―――ただ、試合で泣けるかどうかは行ってみないとわからないですよね?
コントロールができないんですよね、スポーツって。「ほら泣いてください」っていうわけにはいかない。それは行われている試合なり、選手たちの動きによって泣けるもの。“筋書きのないドラマ”の中で生まれてくるものですからね。だからそれが癖になるんでしょうね。試合展開はコントロールできない中でビジネスにするっていうのが、スポーツビジネスの“妙”ですね。

―――まだまだスポーツを見にいく経験がない人もいると思いますが?
もっとハードルを下げないといけないですね。なので、スポーツに接するいろんな機会を作りたいと考えています。スポーツでの感動とか勇気とかの話をしましたが、スポーツは人を繋ぐ力があるので、やはりコミュニティを作るのにスポーツが必要です。そこで実証実験を始めたのが、スポーツバーの運営です。常設の施設としてやっていくには試合数が必要になってきて、70、80という試合を見せられるとビジネスとしての可能性がグッと高まります。これはまさにパナソニック スポーツが複数の競技を束ねているからできることなのかなと。