アメリカ 鉄・アルミに追加関税発動 貿易戦争激化?日本どう対応?

こうした中、今週のアメリカの株式市場は、トランプ関税による経済への影響が懸念され、荒れ模様だった。

9日のFOXニュースのインタビューで「今年は景気後退を予想しているか?」という質問に対して、トランプ大統領は、「そのようなことを予測するのは嫌だ。我々は非常に大きなことをやろうとしており、移行期間がある」と述べ、景気後退の可能性を否定しなかった。

これを受け、翌日のニューヨーク株式市場ではダウ平均株価が急落。先週末より終値で890ドル値を下げた。この日から4営業日連続で値下がりとなったが、金曜日は反発。それでも先週末と比べ、1300ドル以上下落している。

市場はトランプ関税と今後の株価をどう見ているのか。ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏は…

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
一番はスタグフレーションに陥ってしまうのではないかという心配。インフレが残る一方で、景気の減速もしくは景気後退が同時に起きてしまう。これをマーケットは一番怖がっているのだと思う。

株価急落は去年2024年の8月にもあった。その時期と比べると状況は今の方が良くないと思っている。今の状況としては、FRBはそんなに利下げに積極的ではないと。むしろ忍耐強く、高い金利を続けるべきだということを言っている。世界中が政治面では左右に揺さぶられ、マーケットも上下に揺さぶられるということが追加されている。そう考えると、目先もう一段の株価下落の可能性ももちろん残っている。仮に投資家心理がある程度和らいだとしても、株価の戻りは去年の夏と比べると鈍いと思う。

今週のトランプ政権は、新たに品目別の関税を発動した。アメリカが輸入する全ての鉄鋼とアルミニウムに25%の関税をかける措置を発動した。これを受けてEUとカナダは報復関税を発表している。

アメリカの鉄鋼の輸入先の割合を見ると、1位からカナダ、ブラジル、メキシコで、日本は6番目。日本の輸出額はそれほど大きくないので直ちに影響があるとは見られていないようだ。日本は自動車に関税をかけられる影響が大きい。

ホワイトハウスのレビット報道官が各国の高関税を批判した内容をまとめた。8品目あり、そのうち3つが日本ということで、珍しく日本がターゲットになった。あとは、カナダ、インド、EUだ。しかも日本の場合は、米700%、乳製品40%、牛39%という農産品を問題にしていて、これを口実に自動車に関税かけてくるのではないかと推測できる。

米の関税700%は嘘。そういう時代もあったが、無税で輸入しているものが77万トンあり、それを超えても1キログラムあたり341円の関税なので700%はない。現在200%だと言われている。

中国とアメリカの貿易戦争はどうなるか。米中の関税合戦を見ると、トランプ政権が中国からの全ての輸入品に対して10%の追加関税をかけると、中国は報復関税としてエネルギーなどに10%から15%。さらにトランプ政権が追加関税を20%に引き上げると、中国もアメリカ産の農作物などに10%から15%の報復関税をかけると言うやりとりがあった。