国内の価格はどうなる?「輸出を増やせば上がる」「かなり不透明」

 輸出増で米の値段はどうなるのでしょうか。鈴木特任教授は「国内の米が不足基調の中、輸出を増やせば米の価格は上がるだろう」と指摘。農産物の貿易に詳しい明治大学の作山巧教授は「今すぐ35万t輸出なら間違いなく上がるが、5年先までの生産状況はわからない。海外の日本米の需要にもよるので、国内の価格はかなり不透明」だと言います。

 一方、すでに輸出用の米を作っている農家からは「6年ほど前、米の価格があまりに安かったので輸出米を作り始めた。輸出米を作ると、国から10アールあたり4万円の補助金が出る。しかし、今後、輸出米の生産を増やすつもりはない。流通経費がかかるので、輸出米は農家も卸も儲からない」といった声も聞かれます。

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 では、誰が輸出用の米を作るのでしょうか。「生き残った農家が規模拡大してコストダウン」して作るというイメージを政府は持っていると鈴木特任教授は指摘。ただ、日本は地形的に不利だとして「海外と競争できる規模にするのは難しい。補助金を出すなら国内向けの増産に」とコメントします。