アメリカの消費者物価の伸び率が5か月ぶりに縮小し、トランプ大統領は政権の成果だとアピールしています。しかし、日本と同様、食品の値上がりは市民の家計に深刻な影響を与えたまま。特に高騰しているのが卵の値段です。

朝からにぎわうニューヨークのレストラン「リトル・エッグ」。みなさん、おいしそうなアメリカン・ブレックファストを豪快に楽しんでいますが、ここにも物価高騰の波が押し寄せています。

12日に発表された2月の消費者物価指数は前の年の同じ月に比べて2.8%の上昇でした。中央銀行にあたるFRBが目標とする2%を上回る高い水準での推移が続いています。

特に深刻なのが「卵」です。元々、インフレ基調の中で「鳥インフルエンザ」が発生。大量の殺処分で卵の供給量が大幅に減ったため、この1年で価格はおよそ2倍に跳ね上がりました。

『リトル・エッグ』店長 イヴァン・ハンチャーさん
「卵はやはり人気です。価格上昇が続けば店にとって大問題となるでしょう」

実はこのレストラン、東京・池袋で姉妹店を展開しています。チェダーチーズの入った「オムレツ」は日米共通の人気メニューですが、値段は全く違います(日本1200円、アメリカおよそ2700円〈18ドル〉)。これだけ見るとアメリカの方が利益が出そうですが、卵を含むすべてのコストが高騰しているため、ギリギリの経営だといいます。

『リトル・エッグ』店長 イヴァン・ハンチャーさん
「大きなプレッシャーです。東京よりも物価の上昇が大きく、課題は“別次元”です」

私たちがニューヨークの食料品店をのぞくと、卵には驚くような値段がついていました。

記者
「店の奥には普通のパックに入った卵も売っています。ただ、高すぎてあまり売れていないということです」

通常の箱売りは12個で11ドル(およそ1600円)。「高すぎて買えない」という客の要望に応え、“小分け販売”も始めました。3個で3ドル、1個当たりの価格はおよそ150円です。

食料品店の店主
「40年近く店をやっていて、これほどの値上がりは見たことがない」

大統領選挙でも争点になったインフレ。トランプ氏は「自分ならすぐに食料品の価格を下げられる」とアピールしていました。

アメリカ トランプ大統領(去年8月)
「就任初日からインフレに終止符を打ち、アメリカに再び『手頃な価格』をもたらす」

しかし…

アメリカ トランプ大統領(今月4日)
「バイデンは『卵』の価格を制御不能にした。コントロール不能な状態だ」

現在の卵価格については「責任はバイデン前政権にある」という立場です。

長引く価格の高騰に、国民のいら立ちは募っています。

街の人
「彼(トランプ氏)は何もしてくれない」
「誰の責任かは分からない。いずれにしても私たちは苦しんでいる」

足元の調査では、卵の売れ行きは低調となり、在庫が積み上がって、価格は一時的に下落していますが、上昇トレンドは今後も続くと予想されています。