訪問看護師・中村悦子さん
「震災当時は患者さんとも連絡がつかなくて、そのとき仕事していた社会福祉法人の建物が福祉避難所になったので、物資の仕分けをしたり状態観察しながら安否確認できた利用者のもとを回っていた。やるしかないって、無我夢中でしたね」


輪島市にある「訪問看護ステーションみなぎ」。この拠点を管理する中村さんを含め、3人の訪問看護師が市内のほか、穴水町など奥能登2市2町でおよそ30人の患者をみています。スタッフのうち2人は、地震後、県外から能登に移り住んだ看護師です。


そのひとり福岡出身の深川由美さんは、復興までの人手不足を補おうと去年5月から支援に来ています。

福岡から能登に移住した訪問看護師・深川由美さん
「支援者として、温かく受け入れて下さっていますね。(Q石川の方言はきつくないか)きつくはないですね(笑)。分からないからキョトンとしてたら『それはこういう意味」とか教えてくれたりします」

輪島市の市街地から車で1時間ほどの、穴水町の小さな集落。ここに1人で暮らす鎌田義弘さんのもとを、深川さんは週に一回、訪れています。


訪問看護師・深川由美さん(福岡から移住)
「お肉がちょっと少ないね。食べすぎよりはいいんやけど、お肉も食べたいんじゃないかと思って」

鎌田義弘さん「食べたい」

訪問看護師・深川由美さん(福岡から移住)
「あんまり我慢してストレスになったらいかんからね…」


40年前に精神疾患を発症したという鎌田さん。食生活の乱れや血圧に変化がないかなど、健康状態の確認はもちろん、孤独感を和らげるのも訪問看護師の大切な役割です。

鎌田義弘さん
「(Q深川さんに来てもらうのは楽しみか)はい。やっぱり、話せることかな」

訪問看護師・深川由美さん(福岡から移住)
「私の中では、1年くらいの滞在と思って能登に来ていて。でも、復興も思うように進んでいないし、居場所作りというか、そういうことに関わりたいので、まだまだこれからなので。もう少しいさせてもらおうかなと」


深川さんのような県外からの支援者なしでは手がまわらない奥能登の訪問看護の現場。需要の高まりとは裏腹に、深刻化する担い手不足の課題は訪問看護の現場だけにとどまりません。