大山鳴動して「減税額は2~3万」

今回公明党が新たに提案した修正案が成立する見通しだが、その案は年収200万円以下の人は恒久的に非課税枠を160万円にし、年収850万円以下の人については2年間に限って、年収に応じて非課税額をそれぞれ上乗せするというもの。基礎控除の上げ幅を年収ごとに変えることで幅広い年収層で恩恵を受けられるようにした。

幅広い層への恩恵を意識したことと、高所得者層にまで恩恵が行き渡ることへの懸念などを総合的に判断したのが今回の案だったが、制度は複雑。“新たな年収の壁”となっていることも否めず、国民民主党としては「年収制限を設けるべきではない」と反発、合意には至らなかった。
今回JNNの世論調査では、この年収制限についての賛否を聞いた。

【全世代】
「一定の年収で制限すべき」48%
「年収の制限はするべきではない」44%

【世代別】 「一定の年収で制限するべき」「年収の制限をするべきではない」
18歳~29歳      29%              68%
30代        48%              44%
40代        40%              55%
50代        51%              44%
60歳以上       55%              33%

国民民主党を支持する人が比較的多い、30代未満は「年収制限をするべきではない」が圧倒的に多い一方、50代以上では「年収制限すべき」が上回り、全体としては“ほぼ拮抗”しているという結果となった。

年末からはじまった税制協議は、時間が短かったものをふくめておよそ40回にのぼった。大山鳴動して「減税年間2~3万円」という結果に終わった。国民民主党が当初主張していた178万円までの引き上げと比べると、減税額は明らかに小さい。

“小粒”となった大きな要因は財源だった。
国民民主党が主張する「178万円への引き上げ」には財源(つまり国と地方の減収額)は7.6兆円と試算され、与党の修正案だと減税規模はおよそ1.2兆円になる。
交渉は決裂したものの、国民民主にとってみれば、再び178万円をめざして夏の参院選を戦えるため「本気で悔しがっていないのでは」との見方もある。一方で自民党関係者からは「国民民主党が具体的な財源を示さなかったのは本当に無責任だ。ポピュリズムの極みだ」と恨み節も聞こえる。