トランプ政権で揺らぐ安保・エネルギー情勢 今こそ「財政健全化」打ち出せ

ーーそして野田さんが警鐘を鳴らしているのは財政赤字。歳出と税収の差がワニの口のように広がって、使う方にお金がいかないと。そのために国債を発行し、国債残高は1000兆円超に。野党の要求を飲まないとならない少数与党ではこの先心配ですね。
野田毅 元税調会長:
特に私が心配してるのは、団塊世代が全員高齢の世界になり、今までも大変だったけど、さらに加速していくということであちこちに矛盾が出てきてる。長年つぎ足しつぎ足しだけでやってきて、根本的な構造からきちんとやり直さないでずるずる来てしまった。それだけ難しい問題を抱えているということですけれども…逃げるわけにいかないはずだから。これを機会に本当はちゃんとそういったことをやんなきゃいけないよというのはあります。
もう一つ心配なのは、アメリカのトランプ政権になって関税の話だとか、世界経済全体がどういう風になるか、安全保障問題もありますけれども、さまざまな不安定要素が急速に出てきて。特にここ一両年の間はエネルギーコストにも絡んできてるから、今でさえ最悪の経済財政状況がさらに加速するリスクが高まっていると。このところトランプさんも出てきたし、金利が動き始めた。金利が上がっていくと大変厳しい状況です。日銀自身にも能力の限界がありますから、国債の格付けに影響してくる可能性もある。だから今、日銀が非常に慎重になっている。これはかなり足が速いんで非常に心配している。
だから余計、財政の健全化に対する方向性をきちんと打ち出していかなきゃいけない。大事な時に少数与党国会だと。だからここは本当は与党、野党を超えてですね、目先の次の選挙で国民の支持を得るかということもあるけれども…同時にもう一つそういうきちんとしたものを作っておかなきゃいけない。「税と社会保障の一体改革」の議論を絶対に始めなきゃいけない。それは専門家だけじゃなくて各界から、かつての社会保障国民会議みたいな。あるいはもう少しきちんとやって本当に根っこから見直す必要があると思うんですね。野党からも政治家あるいは代弁する方が入るのか、政府だけで作るのか、国会の中に作っていくのか。国会の中に与野党のきちんとした形ができればその方がいいと思いますね。だからあまりその次の選挙の票のことばかりじゃなくて、そうやった方がいいねと。