年収の壁103万円⇒160万円に 新たな壁も…複雑で分かりにくく

そうした中で政策に求められるのは当然、物価対策が必要ということになってくる。減税案がまとまったわりには小さかった。元々103万円の控除があったものを、2024年末に作った政府の予算案では「123万円にしよう」と。そして今回160万円まで控除額を拡大するということだが…。

詳しく見てみると、所得階層ごとに違っていて、恒久措置で実施されるのは年収200万円以下の人だけで、それ以上の人は2年間の限定付きで年収ごとに控除額を少しずつ減らしていくことになっている。年収850万円以下の人は全く関係がないという世界になった。政治的な妥協の産物で、減税額が大体2~3万円ということになった。

――これだと物価高対策という意味でも、押し返すには力不足か?

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生 氏:
税金だけで物価高対策ができるわけではない。そもそも基礎控除。基礎のベースラインなので、それに額の差をつけるのは、テクニカルすぎて、政治的な妥協が起こっているのではないかと。160万円は、ニュースの前面に出ているが、だんだん133万円とか111万円とか、実際は上げ幅が小さい。壁はあまりなくなってないとみることもできる。

(BS-TBS『Bizスクエア』 3月1日放送より)