中学受験が「急増」 専門家「今後、小学生からの塾通いが増える可能性」

国より一足先に去年から私立高校に通う生徒に約48万円あまりを支給していた東京都では、これまで1.3倍前後で推移していた都立高校の平均倍率が今年は1.20倍に急減しています。
また同じく去年から63万円を上限に段階的な私立高生への支援も始めた大阪府では、「中学受験」が急増したことが業界に驚きをもって受け止められました。
関西の受験事情に詳しい教育事業会社「アップ」の吉田さんによると、少子化の流れの中で、今年、京都や兵庫では私立中学の受験者数が去年に比べ減っていますが、大阪は逆に7.1%も増えたといいます。
「高校で授業料がかからないなら、少し無理してでも中学から私立に入れた方がいいと考える親が増えた。今後、小学生からの塾通いが増える可能性がある」といいます。
“新たな受験戦争”につながる可能性

実際、2010年の民主党政権時代に全国で無償化が始まった公立高を見てみると、子ども一人にかかる学習費の総額は、無償化直後は40万円弱に減りましたが、その後、塾代などが増えていき、23年度には約60万円と、無償化前より高くなっています。
データを精査した慶応大学の赤林教授(教育経済学)は「私立の授業料を無償化しても、浮いた分を親が塾代に回したり、学校側が授業料以外の費用を上げたりして、結局家庭の教育負担は減らない可能性がある」と指摘します。
教育格差を是正し、子育て世帯への支援を強化するためとして導入される無償化ですが、フタを開ければ新たな受験戦争につながってしまうのでしょうか。
(サンデーモーニング 2025年3月2日 放送)