外科医を志したきっかけはテレビドラマ

春田先生が外科を目指したきっかけを尋ねると、『振り返れば奴がいる』(1993年/フジテレビ)というドラマの影響が大きかったと語る。大病院に赴任してきた熱血漢の青年医師と、若くして天才的なメスさばきを誇る医師が、医師としての信念を巡って激しく衝突する物語だ。この作品を見て、外科医に憧れを抱いたという。
「実際に医師になってからは、想像以上に過酷な現場で、追われる仕事量に『こんなに疲れるんだ』と思いましたね」と当時を振り返る。
「最初にがん医療を専門にしていましたが、自分の手で治療し、5年後、10年後も元気に人生を謳歌する患者さんの姿を見たとき、『外科を選んでよかった』と感じました」と、やりがいについても語ってくれた。
現在はがん医療から離れ、MALSで苦しむ患者と向き合っている。「これまで食道がんやすい臓がんなど、さまざまな手術を行ってきましたが、MALSの手術はどの手術よりも緊張します。大変重要な血管である大動脈・腹腔動脈を露出して靭帯を切除する手術なので、わずかに場所がずれるだけで出血するリスクもあります。これまで約130件の手術を行ってきましたが、常に緊張感があります」と話す。そもそも、靭帯を切除しても問題ないのか尋ねると「大人になってからは必要のない靭帯なので、切除しても大丈夫です」と春田先生は分かりやすく説明してくれた。