イマドキの研修医事情に本音も

現在の研修医制度についても尋ねてみた。「私たちの時代と比べて、検査や手術件数も増えているので、今はより効率的に進める必要があります。医療機器の発展や医療の進歩により、学ぶべきことが膨大になっている。だからこそ、私たち上級医も『今の研修医たちは昔と違う』という認識を持たなければいけないと思います」と話す一方で、「もっと頑張ってほしいなとは思います(笑)」と本音もこぼした。
今の研修医の勤務時間は朝9時から夕方5時。「研修医が帰った後、残った仕事を上級医が全てやるんです」と語るように、教育の難しさもある。
「自主的に学びたい人は残って勉強していますが、最終的にスーパーローテーション(2年間で各科を回る仕組み)を経て専攻科を選ぶので、本当に興味を持って学ぶ人もいれば、『なんとなく知っていればいいや』という人もいる。そのバランスが難しいですね」と葛藤を明かした。手術への向き合い方や、患者・家族との接し方など、言葉では伝えきれない部分が多いのも課題になっているという。
現在、MALSの根治療法は手術のみ。しかし、手術を行うことで症状が98%以上改善されるという。「がん治療と同じくらい、やりがいを感じています」と春田先生。この疾患の認知度が広がり、1人でも多く患者が痛みから解放されることを願う。