「消えたコメ」の意外な真相
しかし、私は取材を進めるうちに、それとは全く違う「消えたコメ」の要因を聞きました。
「消えたコメというが、もともとコメはそんなに無かったんですよ」
愛知県内の農家、JA、卸小売業者などが口を揃えて言っていたのです。
そのからくりを聞いて驚きました。
コメの収穫量は玄米で測られ公表されますが、消費者の手元に届くのは大半が白米です。

それまでに精米機で表面が削られ、無垢の白米になりますが、愛知県内ではその削られる量が例年よりも多いというのです。
JAによると通常は1割削られるため歩留まりは約90%、しかし今年の削られる量は約2割で、愛知県のあるブランド米は78%とかなり低調だったといいます。
愛知県の作況指数は98と全国平均を下回ったうえ、この歩留まりの悪さはJAにも衝撃を与えていたようです。

供給量が少ない中で、生産者がこれまでとは別のルートでコメを流通させていたとしたら…去年まで集まっていた場所にコメが少なくなるのはあり得る話です。

ちなみに農水省は「去年末の全国平均の歩留まりは90%を少し下回る程度で産地によって差があるのかもしれない」と説明しています。