中小企業 賃上げ6%以上の実現は…
――大手が5%以上、中小が6%以上というのは中小の方により高い賃上げをしてくれと?
連合 芳野友子会長:
大手と中小の格差を是正したいという思いが込められているので、1万8000円以上、6%以上の目標を掲げていて、額の方を前面に出している。
――中小企業賃上げ分の価格転嫁。大手とどう交渉すればよいか?
連合 芳野友子会長:
連合の方にも、原材料費の価格高騰までは取引先から認めてもらえるが、労務費まではという声は確かに来ている。地方、中小小規模事業者がどれだけ賃上げできるかが、結果的に経済を好循環に回していくので適切な価格転嫁、労務費を含めた価格転嫁を認めてもらうということが大事。まず中小小規模事業所においては、正々堂々ときちっと大手に要求して欲しい。
――皆さん勇気をだして言いましょうということか。
連合 芳野友子会長:
みんなで言わないと駄目だと思う。そして大手側もやはり価格交渉のテーブルに
きちっと乗っていくことが大事。

――経団連もサプライチェーン全体での価格転嫁が必要だといっていて、労務費も含めた価格転嫁は賛成している。ただ「6%の賃上げと言われてもうち(大手)は5%ですよ」と「おたく(中小)6%も上げるんですか」という顔をされるとやはり転嫁できないのでは。
連合 芳野友子会長:
連合が経団連や経営者団体の皆さんと話をするときには適切な労務費の転嫁について理解してもらっているので、粘り強く交渉していくことが大事だと思う。やはり中小小規模事業者を見るとなかなか転嫁できていない数字が出ているので、連合としては下請法の改正に向けて引き続き力を入れていくことになる。

2月5日に発表された毎月勤労統計調査によると、名目賃金にあたる働く人1人当たりの現金給与総額は、去年、33年ぶりの高い伸びとなった。一方、去年の物価の変動を反映させた実質賃金は、前の年を0.2%下回り3年連続でマイナスとなった。物価の上昇に、賃上げが追いついていない状況が続いている。
――歴史的な賃上げを実現しながら、実質賃金がプラスにならない。それは物価が高過ぎるのではないかと思うが、そこへの懸念は?
連合 芳野友子会長:
物価が安定せず上がり続けているし、特に生活にとても大事な食品とか、そういったものが上がってきているので物価を落ち着かせることは、政治の責任だと思うので、いち早く取り組んで欲しいと思う。
――こうして毎年賃上げが実現できるのではという対談ができるのは非常にラッキーな時代で、連合の会長で毎年賃上げの話ができた会長なんてこれまでいない。
連合 芳野友子会長:
それは加盟組合の皆さんの真摯な労使交渉の結果の積み上げなので、どれだけ賃上げに向けた機運の醸成ができるかどうかが私達の役割。政労使の意見交換会ができたり、地方版政労使会議が開催できるようになったり、いま下請法も改正に向けて具体的な案はまだ出てきていないが、そういう動きが出てきたのは非常にラッキーな部分はあるかと思う。
――今年も息切れせずに機運を盛り上げていく。
連合 芳野友子会長:
盛り上げていきます。頑張ります。(もう賃上げ疲れとは)言わせません。