中小企業への賃上げ実現は? カギは労務費など価格転嫁

賃上げ率のグラフを改めてみると、2023年に3%台が出て、24年5.1%が出て、今年は3年目。
――3年目の重要性をどうみるか。

BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部副会長 中空麻奈氏:
2年で終わってしまうと続かないと思われてしまうので、今後継続するためには、今年は本当に大事だと思う。「瀬戸際」と芳野会長が言っていたが、本当にそうだと思う。それで高い賃金の上昇を見てると投資家層は、外国人も日本人もみんな安心感が出てくると思う。
そうした中で今年2025は中小企業に大企業以上の賃上げをしてほしいということ。ただ、中小企業の方々はどう思ってるのだろうか。

大同生命保険の調査によると、2024年に賃上げを実施した全国の中小企業およそ3000社のうち53%は今年も賃上げを予定しているということがわかった。一方で、2024年に賃上げを実施しなかった約2000社のうち61%が2年連続で実施を見送ると答えている。
賃上げしたところが多いように思うが、これだけ母数が大きくなってくると、かなり賃上げが去年できなかったというところもある。しかもその中の人たちは今年もできないと言っている。
――つまり中小の中で差が開いてきてるのではないか。
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部副会長 中空麻奈氏:
当然ですが、賃上げは政府が決めてできるものでもなく、企業が収益を上げないといけないので、何年も連続で賃上げできないとなってくると、収益が上がっていないし、それから人も採れなくなってくるので、ますます差がつくことでもあると思う。

賃上げを実施する予定という企業に今年の賃上げ率予定を聞くと、6%以上賃上げできそうだというところは本当に少ししかいない。
――価格転嫁をしていくためのカギはどこにあるのか。
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部副会長 中空麻奈氏:
地道な努力しかない。価格転嫁をすべきだとみんな思うが、値段が上がるとやっぱり嫌。昨日まで100円だったのが120円、150円になってくると、またこれも上がってしまったと思う。価格転嫁を認めることは、私達もものの値段が上がっていくことに慣れないといけないということだと思う。消費者価格に転嫁されない価格の上昇はあり得ない。誰かだけが得することは誰かが損をしているはず。そこの構造を考えるのであれば、価格が上がっていくことを私達も慣れなければいけない。しかし慣れると言っても給料も上がってないのに価格が上がるのだけは殺生なことなので、賃金をきちんと上げてもらう。なので5%~6%の賃金上昇はやってもらわないといけないと思う。
――賃金の上昇が、ずっと続くんだという確証みたいなものを持てるようになればいい
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部副会長 中空麻奈氏:
そうならなければおかしい。アメリカでラーメン3000円、日本は1000円で食べられるいうことを「日本はよろしい国」となるのか、それとも3000円でも食べていけるぐらいのお金がもらえる国になるか。私達は今、後者に脱皮しようとしてるので、だいぶ慣れてかなければならない。
(BS-TBS『Bizスクエア』 2月8日放送より)