年配者のアメリカ愛憎
TBS総合嗜好調査では、大統領の好き嫌い同様、国の好き嫌いも質問。
その中から「アメリカ」について、2014年以降の数字の推移を年代別にまとめると、次の折れ線グラフのようになりました。

グラフでは、全体としてアメリカが好きな人のほうが圧倒的に多く、嫌いな割合は1割未満。年代別では、若年層(10~20代)や中年層(30〜50代)より年配層(60~70代)のほうが好意度にアップダウンが見られます。
年配層を細かく見ると、オバマ政権時の4割程度がトランプ政権で3割に低下。バイデン政権前半に4割弱まで戻すも、後半は3割まで低下。
一方、若年層では、オバマ政権から第1期トランプ政権にかけて5割弱で変わらず。トランプ政権末期の20年に数字を落とし、バイデン政権になって持ち直すも徐々に減少。中年層はこの10年、4割前後の好意度で安定。
思うに、年配層でアップダウンが大きいのは、年配層ほどアメリカへの憧れが強いからではないでしょうか。
戦後の日本にとってアメリカは、仰ぎ見る大きな存在でした。
戦勝国アメリカが、敗戦国日本の軍国主義を一掃して民主主義を持ち込む。電化製品、自動車、広い邸宅といった「豊かな市民生活」を見せつけ、戦後の貧しい日本人が憧れを抱く。アポロ月面着陸、ベトナム反戦運動やロック、ヒッピー、カウンターカルチャーもアメリカ発。
もちろん憧れだけでなく、経済では日本が力をつけると対米輸出が問題になったり、ドル・ショックにオイルショック、リーマン・ショックとアメリカに振り回されることもしばしば。国際政治でも冷戦終結、湾岸戦争、イラン戦争と、アメリカの思惑が絡んで世界の形が大きく変わってきました。
こうしたことを見つめてきた年配層にとって、アメリカへの憧れが大きかった分、トランプ氏が振り回すアメリカ第一主義への反発も大きいのでは。
逆に、豊かな日本に暮らし、年配層ほどアメリカとの差を感じていない中年層や若年層では、大統領とアメリカ自体への好意は別物なのかも。
それでも意識が高いZ世代の若年層は、環境問題や人権問題へのトランプ政権の対応がひどすぎて、20年にはアメリカへの好意も下がったとか?