好きな大統領、好きになれない大統領
日本にとってアメリカは安全保障でも貿易でも極めて重要な存在であり、そのリーダーも、聞こえてくる評判で好意を持ったり、好きになれなかったり。そうした日本側のアメリカ大統領への思いを調べたデータがあります。
TBS総合嗜好調査(注)が、国内外の政治家・著名人を選択肢に「好きな人」および「好きではない人」としていくつでも選ばせる質問を、2014年から毎年実施。そこに含まれているアメリカ大統領について、東京地区での好き嫌いの数字の動きをまとめてみたのが次の折れ線グラフです。

質問を始めた14年は、第44代大統領バラク・オバマ氏が2期目の2年目。
オバマ氏を嫌う人は極めて少なく、好意度は14~15年の1割程度が、伊勢志摩サミット来日の16年に倍増。このとき、現職大統領として初めて広島平和記念公園を訪問したことなどが、日本の人々に好感をもたらしたのかも。
一方、トランプ氏は就任前の16年で不人気度が4割近く。ウィキペディア曰く、「出馬当時から日本を中国やメキシコと並べ、『米国から雇用を奪った国』として責めたてるなど、『ジャパンバッシング』の急先鋒」だったとか。
とはいえ、就任した17年の訪日時には北朝鮮拉致被害者家族と面会し、解決に向けた協力を約束したこともあってか、嫌う人は3割に減少。
翌18年、「アメリカ第一主義」が中国と衝突して貿易戦争が激化。「安全保障を理由に関税引き上げ等を認める」通商拡大法第232条(ウィキペディア)が適用された日本でも緊張が高まり、トランプ不人気も再び上昇。
19年は「我々が彼らを守るなら彼らも我々を守る必要がある」(ウィキペディア)と日本に防衛費の負担増を求め、不人気も定着状態に。
トランプ氏に責められ振り回されて「オバマさんはよかったなあ」と思ったのか、退任後のオバマ氏人気がここで上昇したのは何とも皮肉。
そして20年。新型コロナウイルス対策では感染拡大を過小評価したと批判され、経済への影響も深刻化。黒人への暴力や人種差別撤廃を訴える「ブラック・ライヴズ・マター」運動には、沈静化に軍の投入を示唆して批判されるなど、あちこちで評判を落としたトランプ氏は大統領選で落選。
21年就任のバイデン大統領は、日本人(厳密には東京の人)には好きも嫌いもない感じ。それでも好意より不人気のほうが多いのは、ガザへの攻撃を止めようとしないイスラエルを支持するからだと思うのは、筆者だけでしょうか。
そして再びトランプ氏。24年11月本選直前、10月の調査結果で好意は1割未満で以前と同様ながら、19年に4割弱(38%)だった不人気が2割強(24%)まで低下。昔は不快の念と反発が強かった日本人も、すっかり慣れて気にならなくなったとか……?