「愛国者」の国アメリカ

2期目の就任演説でトランプ氏は「わが国は権利と自由のために全てをささげた何世代にもわたる愛国者たちによって築かれてきた」と述べました(2025年1月21日付時事通信)。
彼は「2021年の議会襲撃事件で有罪となり服役している支持者を『愛国者だ』とたたえ、敬礼したことが物議を醸して」います(産経デジタル、2024年3月21日)。

彼を支え、彼がたたえる「愛国者」。アメリカの作家アンブローズ・ビアスによる、政治や人間関係への鋭い洞察で有名な『悪魔の辞典』では、以下の定義が与えられています。

愛国者(patriot ​n.)部分の利害のほうが全体のそれよりも大事だと考えているらしい人。政治家に手もなくだまされるお人好し。征服者のお先棒をかつぐ人。

こう言われて、ニヤリとする人と真っ赤になって怒る人が、今、アメリカを二分しているのでしょうね。

注:TBS総合嗜好調査は、衣食住から趣味レジャー、人物・企業から、ものの考え方や行動まで、ありとあらゆる領域の「好きなもの」を調べる質問紙調査です。TBSテレビが、東京地区(1975年以降)と阪神地区(1979年以降)で毎年10月に実施し、対象者年齢は、1975年が18~59歳、76~2004年が13~59歳、05~13年が13~69歳、14年以降は13~74歳となっています。

引用・参考文献
・「ドナルド・トランプ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2025年1月27日(月) 12:11
・「1962年通商拡大法」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2024年10月11日(金) 18:45
・アンブローズ・ビアス著・西川正身編訳(2017)『新編 悪魔の辞典〔電子書籍版〕』岩波文庫

<執筆者略歴>
江利川 滋(えりかわ・しげる)
1968年生。1996年TBS入社。
視聴率データ分析や生活者調査に長く従事。テレビ営業も経験しつつ、現在は法務・コンプライアンス方面を主務に、マーケティング局も兼任。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。