外国人観光客の増加や外資系ホテルの進出など「第2のニセコ」といわれているのが、長野県の白馬村。インバウンドの恩恵の一方で、様々な問題に直面している白馬村が目指す新たな観光地の形を取材した。

「第2のニセコ」と注目の白馬村 外国人客増加の一方で問題も…

ゲレンデに溢れかえる大勢の外国人観光客。これは先週の長野県・白馬村の様子だ。その目当ては「今まで見た中で一番美しい雪。素晴らしい」「ここの雪はとても軽いパウダースノーでスキーにぴったり」という。良質なパウダースノーに加え、東京や関西からのアクセスも良いことから、白馬は今、「第2のニセコ」として、外国人観光客から注目を浴びている。

観光客の増加に対応するため、こちらのスキー場では去年12月、総額21億円をかけて、38年ぶりに新しいゴンドラを導入しました。今シーズンは、スキーやスノーボードをしない、東南アジアからの観光客も増えているという。

インドネシアからの観光客にスキーはしないのか訊ねると「いいえ、ただ雪を見に来た」「雪遊びをする」と話す。

白馬村によると、2023年の外国人宿泊者数は25万人ほど。10年前と比べると4倍以上になっている。こうした中、外資系ホテルの参入が加速している。

2年前に開業したシンガポール資本の「カノリーリゾーツ白馬」。1日1組限定の宿泊施設は、3つのベッドルームがある広さ400平米のスイート。1泊100万円以上(6名まで同価格・食事代別)だが、2月までの予約は、ほぼ埋まっている状態だという。

広報担当の渡辺篤志さんによると「東南アジアの客が非常に多い。富裕層の中でも超富裕層と呼ばれるような層の宿泊客が多く利用している」という。

ほかにもアメリカ資本の「コートヤード・バイ・マリオット白馬」などが営業しており、今後も外資系高級ホテルの進出が予定されている。

さらに、国内の企業も進出。2024年12月にオープンした「ラヴィーニュ白馬」。国内で宿泊施設を手掛ける「温故知新」が運営する、高級分譲ホテルだ。全38部屋はほぼ完売で、オーナーの滞在時以外はホテルとして利用されている。料金は1泊2食付きで1人5万円前後(2名1室利用時)から。

支配人の清水潔さんによると「予約が1月は9割を超えている。海外の方がメインになっている」。

地元の不動産会社によると、東南アジアなどの富裕層による別荘の購入も増えているといいます。さくら不動産の有井美彩さんは「(購入目的の)一つは自分が使ってない時期に貸し出しをすることによって、1泊ごとのリターンが返ってくるというようなインカム(収入)。あとは土地を購入したまま数年後に売ることによって、キャピタル(資産)にもできる」という。

こうした土地売買の影響で、白馬村では地価が高騰。去年(2024年)7月に発表された路線価では、村内の和田野地区の上昇率が32.1%と日本一となった。村で古くから営業する土産物店は、こうした影響により、地元住民が徐々に白馬から離れていると話す。

古くから土産店を営む倉科光男さんは「(付近の)大体20戸のうち7軒も今いなくなった。(3分の1か?)はい。ニセコみたいになったら困る」という。

北海道のニセコエリアでは、外資による投資ラッシュの影響で、一部では地価が15倍近くに上昇。物価や家賃も上がり、地元住民の転出といった事態も起きている。白馬村は、今後こうした課題とどう向き合っていくのか。丸山俊郎村長に聞いた。