村長・地元はどのように捉えているのか 懸念と対策は?

長野・白馬村 丸山俊郎村長:
外資をウェルカムと思ってはいないが、幅広い価格帯の宿泊施設があるということは、客の様々な需要に応えることができるのでいいこと。

「民宿発祥の地」と言われる白馬村。現在でも900軒ほどの宿泊施設があり、その大半が家族経営の民宿やペンション。
丸山村長によると、こうした地元の宿泊施設は、外資系などの高級ホテルと価格帯が違うため、客のすみ分けが可能だという。地元の宿泊施設は、外資系高級ホテルの進出をどのように捉えているのか。

ペンションのオーナーである林信之さん(70)は「活気があってこその観光地だと思う。その中でうちを選んでくれる人も中には出てくるということ。喜ばしい」。
別のペンションオーナーの福島哲さん(74)も「私たちは、別に競争相手でも何でもない。観光地なので、全然のノープロブレム。どうぞ歓迎です」と話す。民宿やペンションには国内の常連客や、日本らしい雰囲気を求める外国人客が来ているため、外資系高級ホテルとの住み分けは出来ているという。
一方でこんな懸念も…

福島さんは「一番の問題は、私たちは身内でやっている。何年後から相続が発生するので、その時にどうなっているかが心配」という。地価の高騰にともない、相続税の負担が増えることへの心配とともに、土地の転売への懸念も住民にはある。先ほどの土産店店主の倉科さんは「(土地・建物を)買った外国人もこの円安が円高になっていくと、また別のところに行くと思う。そうすると、ここがどうなるか怖い」と話す。
こうした問題について、丸山村長は…
長野・白馬村 丸山俊郎村長:
非常に高い相続税を払う。そのためには現金が必要だが、(土地を)売らないとその金額が払えない一方で、売ってしまうと今度は住んでいられなくなる状況が起きる。そこに関しては行政という立場から国に(見直しを)訴えている。
丸山村長は、外資系企業の進出などに伴う地価の高騰対策として、相続税の評価方法の見直しや転売防止のための税制改正を求める要望を国に出しているという。

こうした問題以外にも白馬村が直面している課題がある。白馬丸金旅館の社長である丸山貴義さんは「この辺の宿は小さく、家族経営が多い。世代交代で帰ってきた息子やその妻が食事を用意することができればいいが、そうは簡単にいかない。食事の継続ができないことになる」と懸念を話す。オーナーの高齢化や人手不足による、食事を提供できる宿泊施設の減少。現在は村のあちこちにキッチンカーが出店している。牛丼はソールドアウト。価格は2500円と高めだが、それでも結構売れているという。