「レッドフラッグ」の腰痛には“要注意” 場合によっては精密検査も…

──突然、ぎっくり腰になってしまった場合はどうしたら良いですか?

身動きができないぐらい痛い場合は、病院に行って痛み止め(消炎鎮痛剤)などを処方してもらうのが良いと思います。あとは楽な姿勢になって、強い痛みをやり過ごします。

ただ、急性腰痛の中には「レッドフラッグ」というものがあり、レッドフラッグに該当するような腰痛というのは、レントゲンを撮ったり、血液検査をしたり、場合によってはMRIなどの精密検査をしたりした方が良いです。

どういうものがレッドフラッグなのかというと、胸部の痛みを伴っていたり、発熱していたり、足がしびれたり、体重減少を伴ったりする腰痛などがあります。あとは、年齢が20歳未満だとか、逆に年齢が50歳以上だとかも当てはまります。色々なレッドフラッグの条件がありますが、患者さんがそれを覚える必要はありません。

──精密検査で他の病気が見つかることもあるんでしょうか?

身近な例でいうと、高齢者が急に腰が痛くなったりすると、「いつの間にか骨折」と言って、いつの間にか背骨が折れていることがあります。50歳以上の人の腰痛は基本的にレッドフラッグなので、50歳以上の人は腰が痛くなったら、基本的には整形外科でレントゲンを撮るべきです。

──もしぎっくり腰になった時は、冷やすのと温めるの、どちらが良いでしょうか?

大抵の場合は温めた方が和らぐ人が多いようですが、サウナに入って汗をかいたら腰痛が治るわけでもなく、冷やしたら腰痛が引くなどというエビデンスもないです。

腰を痛めた時、湿布などを貼って治療をしますが、湿布を貼る目的は冷やすことではありません。最近の湿布には消炎鎮痛薬が含まれており、それが局所の痛みを緩和するのです。

冷やすのと温めるのとどちらが良いのかの結論としては、本人の気持ちの良い方法で良いということになります。ただし、発熱を伴う腰痛の場合には、温めない方が良いですね。

──ぎっくり腰にならないようにするための予防法は?

同じ姿勢を長く続けないというのが一つです。腰に負担のかかるような姿勢を長時間維持していると、腰痛は出やすくなります。

例えば、中腰の姿勢や、ずっと座ったままの姿勢というのは腰に負担がかかります。そういう姿勢を長時間しなければならない時には、合間に椅子から立ち上がって腰を伸ばしてストレッチをするのが良いと思います。

──ぎっくり腰になりにくい座り方はあるのでしょうか?

やはり良い姿勢で座る方が腰にかかる負担は少ないです。前かがみになっているような座り方が一番腰に負担がかかると言われています。普通に座った姿勢よりも少し前傾の姿勢ですね。

逆に、後ろにふんぞり返ったような姿勢も腰には負担がかかるので、やっぱりニュートラルな背筋を伸ばした姿勢が腰にかかる負担は一番少ないと言われています。

ただ、良い姿勢であっても同じ姿勢を何時間も続けていると腰に負担がかかるので、合間に椅子から立って、少し背伸びをしたり、ストレッチをしたりするのが有効だと言われています。1〜2時間に1回はしたほうが良いと思います。少し歩くのも良いと思います。

──腰に良い寝方はありますか?

腰痛の時に、腰に負担の少ない寝方としては、自分が一番楽な寝方が良いと言われています。楽な寝方で多いのが、横になって少し丸くなる寝方が腰には負担が少ないようです。