寒さが厳しくなる冬、よく聞かれるのは「ぎっくり腰」。急激な痛みで動けず、大変な思いをしますが、実は寒さは関係ないそうで──。「ぎっくり腰」になりやすい人の特徴、日常生活での予防法などについて、北千葉整形外科の理事長の寺門淳さんに話を聞きました。

ぎっくり腰に寒さは関係ない? そもそもぎっくり腰とは

──「寒くなってきて腰が痛い」という人が増えた印象がありますが、寒くなるとぎっくり腰になりやすいのでしょうか?

寺門淳さん:
冬場にぎっくり腰になる患者さんが多いという医学的データはありません。同じ痛みの刺激でも、温度によってより刺激を感じやすくなるのかもしれません。

──ぎっくり腰とはどのような状態を指すのでしょうか?

例えば、夏から痛みが出て、3か月経って病院を受診されて「これはぎっくり腰ですか?」と聞かれたら、「いや、それはもうぎっくり腰とは呼ばないです」と説明します。3か月以上痛みが続くものは「慢性腰痛」と言うからです。

つまり、ぎっくり腰は急に痛みがでた「急性腰痛」を指す言葉であって、「病態」のことを意味します。「病名」ではないということですね。

──ぎっくり腰になりやすい人の特徴は?

運動をしていない人は腰痛になりやすいと言われています。あとは、腰に負担のかかるような職業の人。喫煙が腰痛との関連があるという報告もありますが、関係あるのかはまだはっきりしていません。

──肥満の人が腰痛になりやすい、逆に痩せた人はなりにくいといったことはあるのでしょうか。

肥満の人が腰痛になりやすいというよりも、日頃からあまり運動をしていない人がなりやすいと考えられます。したがって、痩せた人でも、運動をしておらず、筋力や体力がない人は腰痛になりやすいと考えられます。

肥満な人でも痩せている人でも、腰を支えている「体幹筋」が弱っている人は腰にかかる負担をサポートできなくなっている可能性があると思います。