『望まなかった妊娠』相談できず…出産 紙袋に入れ持ち歩いた日々

裁判の被告人質問で、弁護人がこう切り出した。
(弁護人)「妊娠していると分かって何か行動は?」
(被告の女)「してないです」
(弁護人)「病院も?」
(被告の女)「経済的にも行くお金が無かったので行きませんでした。あとは、妊娠している事実を認めたくない気持ちがありました」
誰にも相談できないまま時だけが過ぎていった。そして今年4月、女の赤ちゃんを出産した。しかし、赤ちゃんは産まれた時点で泣き声も出さず動かない状態だったといい、死んでいると思ったという。
女はポリ袋に赤ちゃんを入れたうえ、さらに紙袋に入れて持ち歩くようになり、ホテルを変える際には遺体を入れた紙袋をコインロッカーに預けるという行動を10回ほど繰り返した。では、なぜ遺体を持ち歩くようになったのか。女は裁判でこう話していた。

(被告の女)
「(警察に)バレたくない気持ちもありましたが、一番は亡くなった子どもに申し訳ないと思い、捨てられずにいました。」
けれども、最後は生活に困窮し、コインロッカーのお金すらも払えず、鍵をかけることもできなかった。そして、死体遺棄事件が発覚することとなった。
女は事件について振り返り、次のように証言した。
(被告の女)
「赤ちゃんをちゃんと救急車、病院や警察とか呼んで助けてもらったらよかったな」
身寄りのない大阪の地で、見知らぬ客の男に妊娠させられて身ごもった子ども。はじめは「妊娠を認めたくない」としながらも、出産後は「子どもに申し訳ない」と話した女の様子からは、少しずつ母性が芽生えて気持ちが変化していった様子を感じ取ることができた。