橋本社長に聞く 高い客室稼働率を維持する戦略

2023年から、大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツを率いる橋本啓太社長に館内を案内してもらった。
――立派なシャンデリアがある。

大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ 橋本啓太社長:
居抜き中古物件だが、良いものはそのまま残すということで、(このシャンデリアは)素晴らしいので残した。

――基本的に、全部食事はバイキング形式だが、どんなメリットがあるのか。
大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ 橋本啓太社長:
一番は給仕する人件費がぐっと抑えられる。人件費も原価も半分。

2003年、大江戸温泉物語は東京・お台場に天然温泉が楽しめるテーマパークとしてオープン。年間100万人ほどが訪れる人気観光スポットだったが、2021年に東京都との借地契約の期限を迎え閉館した。
――都市型の温泉テーマパークから、地方の温泉旅館再生に、転換したきっかけは?

大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ 橋本啓太社長:
お台場の事業は一事業だった。今後この温泉を活かしてどういう事業をやっていくべきかと。地方でスーパー銭湯をやるのもありだとは思っていた。その時、大きな宿泊施設の国有財産を民間へ売却していく話があった。ちょうどそういう話をもらってそれがきっかけとなって、築年数がある程度たったものを取得して、現代の温泉旅館に作り変えていくことが始まった。

大江戸温泉物語は、鬼怒川観光ホテルの他にも、栃木県のホテルニュー塩原や、大阪府の箕面観光ホテルといった老舗ホテルを買収し、再び人気ホテルへと生まれ変わらせた。
――高度経済成長期に建てた建物が多く、継続的に投資をする負担はないのか。
大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ 橋本啓太社長:
投資回収年数はかなり短く設定している。客のニーズは5年周期で変化すると思っている。短期で投資回収をして、ニーズに対応している。(新規で物件を建てることは)基本やらない。我々は居抜き中古物件を大体交渉が始まって約6か月で取得する。取得からリニューアルの期間も約5か月。その分、イニシャル(初期投資)のコストもぐっとかなり低くなる。新築の5分の1とか6分の1になる。

大江戸温泉物語のホテルは、1泊1万円から泊まれるスタンダードと、ラウンジでのアルコールが無料になるワンランク上のプレミアム、そして上位ブランドの「TAOYA」などに分かれている。

「仙台の奥座敷」と呼ばれる宮城県の秋保温泉に2023年にオープンした「TAOYA秋保」。1625年に開業の老舗旅館「岩沼屋」を買収し改装した。

「ゆったりと、たおやかに。」をコンセプトにしたTAOYAでは、アルコールを含むホテル内でのドリンクなどが宿泊費に含まれる「オールインクルーシブ」となっている。
宿泊客は「飲み放題で、(料金を)気にしないで飲める」「最高。めっちゃいい」。

バイキングでは地元・三陸産のカキをつかったカキフライや宮城サーモンの藁焼きなどが並ぶ。

温泉は伝統を感じる内風呂、そして新たに大きな露天風呂を増設した。














