国際コンテストで金賞を受賞するなど大分県国東市で栽培されるオリーブがいま高い評価を受けています。生産者と行政が一体となってさらなる生産拡大へ取り組みを続ける一方、新たな課題も浮上しました。

料理にフルーティな風味とまろやかな味わいを加えるオリーブオイル。含まれるオレイン酸は悪玉コレステロールを減らし、生活習慣病の予防に役立つといわれ、オリーブオイルは調味料でありながら健康面からも今注目が高まっています。

(JAおおいたオリーブ部会・広瀬徳喜副部長)「これが私のオリーブ園でアルベキーナという品種です」


オリーブの生産拡大に力を入れているのが国東市です。2008年からオリーブの栽培に乗り出し、現在は31の農家がおよそ31ヘクタールの畑で栽培しています。

6年前からオリーブ作りを始めた広瀬さんの農園にはおよそ150本の木があり、11月中旬にかけて収穫の時期を迎えています。

(広瀬徳喜副部長)「今年は一番最高です。一本もなっていない木がない。全部なっています、この中の園で。本当にメインになってくれて、国東はオリーブだっていうことが全国的に有名になってくれるほど増えてくれたらいい」


国内のオリーブ市場はおよそ98パーセントが海外産で国産では特産地として名高い小豆島のある香川県が9割以上を占めています。国産の希少性や栽培に適した気候などから国東市はオリーブに着手。ブランド名「国東オリーブ」として展開しています


(国東市農政課・後藤紫文さん)「海外産のオリーブはどちらかというとピリリとした辛みが主流なんですが、国東のオリーブはまろやかな甘味と酸味、そういうフルーティーなところの味わいを楽しんでいただける」


国東市は2015年から苗木の購入費の4分の3を補助する制度を導入しこれ以降、栽培面積や出荷量はおよそ3倍に増えました。27か国から811品が出品された2021年の国際コンテストで金賞を受賞するなど、品質も高く評価され始めています。現在はオイルに加えオリーブを配合した石鹸や美容クリームを開発しさらなる認知度アップを図ろうとしています。


(後藤紫文さん)「もっと気軽に皆さんに味わっていただけるような、100%国東産のオリーブオイルをこれからも作付面積を広げて皆さんのお手にとってもらいやすいような環境を作っていくことが目標です」

一方大規模な農園を整え栽培に参入した企業も…

九州で水道事業を手がけるキュウセツAQUAの農園にはおよそ3000本の木があり、2022年はおよそ8トンの収穫を見込んでいます。新たなビジネス展開のため、農業部門を立ち上げ大規模な土地を探す中で国東市のオリーブに着目しました。


(キュウセツAQUAオリーブ事業推進室・大野貴博室長)「大きな耕作放棄地があるということで、そこを国東市と一緒にオリーブで盛り上げていこうということで始めたのがきっかけ」


収穫したオリーブは選別のあと、自社の加工場に運ばれおよそ2時間かけて油を絞ります。自社で一貫した生産体制を強みにオリーブオイルや美容液などの商品を製造・販売しています。

(大野貴博室長)「11月、12月になってくると新しいオイルができて、それを楽しみにしているお客さんもたくさんいらっしゃるので、そこにお届けできるというのは我々の喜びの1つ」

一方で課題も浮上。今回の台風14号で強風によりオリーブの木が根から倒れるなど多くの農園で大きな被害が出ました。市は今後、倒木を防ぐ支柱の購入補助を行うなど安定した生産に向け対策を強化する方針です。


生産者と行政が一体となって取り組む国東オリーブ。新たな特産品として産地化がますます進んでいきそうです。