電気・ガス代補助、縮小して再開
総選挙を通じて与野党問わず訴えていた電気・ガス代補助は、来年1月に再開し、3月まで続けることになりました。しかし、補助額は電気で1月、2月が1kWhあたり2.5円、3月が1.3円です。岸田内閣が酷暑対策として復活した補助が、8、9月が4.0円、10月が2.5円だったことと比べれば、今回はかなりの「ケチ」ぶりです。
早く辞めたいのは山々だが選挙公約に入っていたから仕方なく再開、という本音が、見え見えです。思い切った物価高対策をという気概もなければ、もっと良い家計支援の方法を考えようという新味も全くありません。
年内までと決まっていたガソリン代の補助についても、延長が決まりましたが、目標価格はこれまでの1リットル175円から、1リットル185円程度に、あっさり引き上げられました。こうした物価高対策に石破総理やその周辺が積極的にリーダーシップをとった形跡は全くありません。
低所得世帯に給付金3万円
物価高対策のもう1つの柱は、低所得者向けに給付金3万円を支給することです。子育て世帯の場合は、子ども1人あたり2万円を加算します。ただ、「低所得者」の規定には、これまで同様、「住民税非課税世帯」が用いられることがあっさり決まりました。
住民税非課税世帯は、もちろんフローの所得は低い世帯なのですが、その4分の3が年金所得に依存する高齢者世帯で、所得は低くても貯蓄など資産を持っている高齢者もそれなりに含まれています。家計支援が必要なのは、むしろ税金や社会保険料を納めているけれど、所得が低く生活が苦しい「働く世帯」なのではないか、という重要な論点は、今回も事実上フタをされました。住民税非課税世帯以外にまで広げると、線引きが難しく、財政支出が膨らみ、自治体の負担も増えるからです。
ガソリンや電気ガスの補助には、これまで11兆円を使いました。所得の高い層や企業にまで、こうした一律の補助を出し続ける必要が本当にあったでしょうか。11兆円もあれば、物価高の影響が大きかった低所得世帯に、もっと直接的な家計支援ができたのではないかと思わざるを得ません。今回も、そうした議論には発展しませんでした。