保護司殺害事件の波紋

今年5月、滋賀県大津市で社会復帰を支援する保護司が殺害された。容疑者は、保護観察中だった。事件は、出所後保護司に頼らざるを得ない受刑者たちにも衝撃を与えた。
強盗致死・無期懲役 50代・服役13年
「人のこと言えるわけではないけど、あれはひどいと思う。みんな(受刑者は)思ってます」

強盗殺人・無期懲役 服役30年
「刑期が長い身からすると、迷惑な事件」
ーー保護司は恩人ですか?
強盗殺人・無期懲役 服役30年
「我々受刑者にとっては、受け入れていただける人」
強盗殺人・無期懲役 40代後半・服役20年
「自分たちの仮釈放にも、影響があったりするのかな」
更生保護施設“古松園”にやって来たのは、4年前に仮釈放され、現在保護観察中の無期懲役囚だ。保護犬のケンタが出迎える。

無期懲役囚(4年前に仮釈放 保護観察中)
「園長のおかげです。ケンタも路頭に迷って処分されるところを、園長に助けてもらった。自分も拾ってもらったようなもの。命の恩人だと思う。感謝しています」
保護司との強い絆が窺える。無期懲役囚は、一生無期懲役が消えることはない。1か月に2回、保護司との面接が遵守事項だ。
出所者が身を寄せる民間の更生保護施設、古松園は1897年に設立された。部屋代は半年、食費は2か月間無料だ。仮釈放後の無期懲役囚が、定員20人の半数を占めた事もあった。
山積みされた衣類や日常品、食料品の米、味噌、醤油に至るまで、支援者から寄付されたものだ。

理事長は、歴代現職の岡山市長が務め、地域の代表が古松園の役員になっている。保護司の岩戸顕園長は元少年院の教官だ。
服役中の無期懲役囚75人の身元引受人で、これまでに仮釈放後の約80人の面倒をみている。引き受けるに当たっての面接は、犯罪内容に踏み込む厳しいものだ。

古松園 岩戸顕 園長
「強盗傷人・監禁・強盗殺人・死体損壊・死体遺棄。これだけ付いてるな。女性2人を拉致して、生き身のまま焼き殺し、死体をチェーンソーで切断したとある。普通の人がやることではない」
岩戸園長には、身元保証を懇願する無期懲役囚からの手紙が殺到している。