無期懲役囚に迫る獄死

全国7か所にある死刑場のひとつが、宮城刑務所仙台拘置支所に存在する。

オウム死刑囚の一人の死刑も、ここで執行された。現在も4人の死刑囚が拘置されている。

隣の宮城刑務所は『LB』に分類される。Lは長期刑、Bは累犯、つまり複数回服役した受刑者が収容されている。

無期懲役囚は150人。暴力団関係者も少なくない。最高年齢は90歳。ここ5年間の仮釈放はわずかに2人だ。このため、塀の中での死亡、つまり“獄死”の増加に直面している。

報道特集のカメラが宮城刑務所の病棟に初めて入った。そこには生死をさまよう受刑者の姿があった。

刑務官
「もうちょっとでという感じの人たちです」

宮城刑務所(医療重点施設)の病棟には、末期がんや極度の認知症の受刑者たちが収容されていた。

彼は20代から、人生の殆どを塀の中で過ごしてきた無期懲役囚だ。認知症が進み自分の境遇は全く意識の中にない。

ーーいま何歳ですか?

殺人・強盗殺人 無期懲役・80代後半
「今なんぼだべ?ちょっと忘れた」

ーー自分の事件を覚えてますか?
「窃盗」

ーー刑期は?
「何か月だっけな。ちょっと忘れた」

ーー無期懲役ではないですか?
「無期(懲役)だ」

生死を彷徨い、死が近い重篤受刑者は“個室”に移される。

ーー病名は何ですか?
看護師

「癌です。終末期の患者さんです。いろいろ転移してしまって」

症状の重さで部屋が分けられている。出口に近いほど重篤だ。病棟を出ると霊安室に通じる。この日も霊安室には、すでに2つの棺が準備されていた。