「喜びも悲しみもない」入隊5か月のドローンパイロット

実際に兵器として使われているドローンとはどんなものなのか、見せてもらった。

ウクライナ兵
「ここは軍の装備とドローンを保管している場所です」

増尾特派員
「これが爆弾ですか?」

ウクライナ兵
「そうです。これは対人用の爆弾です」

1機につき飛行距離は10km。爆弾の重さは3kgまで搭載可能という。

ウクライナ兵
「これが小さめの対戦車用。これは大きめの戦車用。こっちはビルや建物を攻撃する高火力爆弾です」

増尾特派員
「用途によって爆弾をドローンにくっつけて飛ばす」

ドローン兵器を扱うのは、わずか5か月前に入隊したコスタさん(30)。彼らの心境とは。

増尾特派員
「軍に入る前は何をしていたんですか?」

コスタさん
「カーナビの部品を作る会社で働いていました。ハルキウに住んでいると日常的にミサイルの音が聞こえます。そして、ロシアが攻め込んで来ると聞いたので、軍隊に入ろうと思いました」

そう、少し前まで彼らは一般人。しかし…

司令部
「応答せよ。今、敵の位置情報を送った」

ウクライナ兵
「ロシア兵は建物にいるんだな?飛ばしていいんだな?」

司令部
「そうだ」

ウクライナ兵
「離陸の準備をしよう」

なんと、ドローン攻撃の指令が。作戦実行するという。

増尾特派員
「今、ドローンが立ち上がりました。ドローンが設置されまして、この後、これが飛んでいき、ロシア軍の方向に戦車や対人に向かって突っ込んでいく」

コスタさん
「離陸するぞ」

増尾特派員
「そして今、パイロットがドローンの飛行を始めました。上空に飛び立ってロシア軍の領地へと向かっていく」

映画の1シーンの様な光景だが、これは紛れもなく現実の戦争。

コスタさん
「敵のドローンパイロットの位置まで飛んでいきます」

ロシア軍の拠点に向け進んでいくドローンだが、その最中でも...

増尾特派員
「今も近くに着弾しましたね。ロシア軍からの攻撃だと思います。近くでものスゴい着弾音がしました」

戦争とはいえ、我々が見ているのは人間が殺し合う瞬間。しかし、恐ろしいほど淡々と進んでいる。

ウクライナ兵
「この少し左にある光っている場所が目標だ」

コスタさん
「確認します。この小屋ですか?」

ウクライナ兵
「そのまま水平を保つんだ」

コスタさん
「いきます」

ウクライナ兵
「いけ」
「達成だ。全て順調だ。敵も確認できたぞ」

コスタさん
「2kgの弾頭があったのでかなりの破壊力です」

敵の拠点を爆撃するこの日の任務は完了した。この現実に、彼らは何を思うのか。

コスタさん
「喜びも悲しみもありません。特別な感情はないんです。ドローンだとほとんどの人が何も気にせず、ターゲットに向かうと思います。私の国を侵略してくる敵を撃つのが私の仕事なので、ただそれだけです」

増尾特派員
「戦争というと、市民が犠牲になったり街が破壊されたり、そういったことをよく目にします。でも、戦争の最前線に行って改めて思うのが、そこで命をかけて戦う兵士一人一人もまた市民であり、家族がいて暮らしがある。それでも国を守るために戦い続けなくてはいけない。当たり前ではありますけれども、その現実、戦争のリアルっていうのを身をもって体感した」

(TBSテレビ『クレイジージャーニー』10月14日放送より)