「攻撃されたら逃げられるように」時速120キロで暗闇の中を走り…
そして、増尾特派員はさらに前線へ。現場は、ロシアと国境を接する激戦地。まさにドローン部隊の最前線へ向かう。
車を走らせること30分、ウクライナ兵と合流。

ウクライナ兵
「君たちの安全を守るために約束事がある。まずライトは絶対につけないこと。そしていつでも逃げられるようにシートベルトはしないこと。それから何があっても俺たちの合図があるまで絶対に動かないこと。これは必ず守ってくれ」
ここから先は何が起きるかわからない戦闘地帯。一瞬の判断が生死を分ける。
明るい時間帯での移動はロシア軍のドローン攻撃の標的になるため、暗闇の中を進む。
増尾特派員
「夜の時間を待って出発しました。ウクライナ兵も『かなりの緊張感を持っていこう』と。ものすごいスピードを出していて、少しでも早くこの危険なエリアを抜ける」
ロシア軍に見つかるリスクを減らすため、時速120キロで走り続ける。しかし、出発から5分後…
増尾特派員
「なぜ停まるんですか?」
ウクライナ兵
「ロシア軍のドローンがいる。いなくなるのを待つしかない」

司令部が上空にロシア軍のドローンを確認。一気に緊張が走る。

増尾特派員
「ここに滞在することも極めてリスク。なかなか心が落ち着かない時間が続いています」
まさに命に関わる取材。進むか戻るかは自己判断。しかし…
ウクライナ兵
「外へ出ろ!攻撃されたら逃げられるようにしておくんだ」
外へ出て息を潜める。その場で待つこと50分。
ウクライナ兵
「出発の許可が出たぞ」
増尾特派員
「今から出発ということで許可が出た。すぐに乗り込んで、このタイミングを逃さないように」
ウクライナ兵
「急げ、急げ、急げ、急げ!」
さらに危険地帯を進み、ドローン部隊の元へ。
増尾特派員
「前線に入ってきました。ガードする建物だったり隠れるような木とかも無いので、極めてここはリスクの高いエリア」
そして…
ウクライナ兵
「着いたぞ」
増尾特派員
「ここかな。元々民家だった場所かな。外に兵士がいる」

ウクライナ兵
「急いで降りろ。こっちだ」
増尾特派員
「完全に辺りは暗闇ですが、地下へと入っていきます」

ウクライナ兵
「よく来ましたね」
増尾特派員
「ここがウクライナ軍のドローン部隊が活動する拠点。おそらく民家の地下の貯蔵庫みたいな所でしょうか」

コンクリートで囲まれた10畳ほどの地下のスペースが、ドローンで遠隔攻撃をする彼らの拠点。

増尾特派員
「簡易なマットレスが3つ並べられていて、ここで交代で休むそう。3日間連続ここで寝泊まりをして、1日だけ休んで、また次の準備に入る。これをずっと続けている」
最前線で戦うリアルな兵士の姿。すると…

増尾特派員
「今、聞こえますかね、大きな着弾音。ロシア軍からの攻撃、着弾した音が数10秒に1回、鳴り響いてる。逆を言えば、この拠点もロシア軍のターゲットになっている。考えられない緊張感の中で毎日過ごしている」
爆撃音が鳴り響く中でも、ウクライナ兵らは一切動じることはなかった。