福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える「老舗物語」。今回は震災・水害・新型コロナと数々の災難を乗り越えながら、地元で愛され続けるいわき市の中華料理店です。

いわき市平の下平窪地区にある老舗中華「華正樓(かせいろう)」。ホイコーローのスタミナ定食など、味とボリュームに大満足!豊富なメニューが自慢の中華料理店です。

--水津邦治(TUFアナウンサー)「スタミナ定食いただきます!うん!キャベツのシャキシャキとした甘さと、豚肉も甘いしほどよいカリカリ感があっておいしいです。」そんな人気店に、この日も多くのお客さんが訪れていました。

--常連客「この味はやっぱりずっと残していただければなと思うので。とてもおいしいです。」

開店したのは今から40年前。初代店主の吉野和久さんは当初、かなり苦労したといいます。

--吉野和久さん(中華料理 華正樓 初代店主)「店をやっていけるのかなという、最初は売り上げが全然なかった。だめかなというのはありました、最初は。」

そうした中、味を広めるきっかけとなったのが「出前」でした。

--吉野和久さん(中華料理 華正樓 初代店主)「出前がかなり浸透してきて、それでなんとか。」

父親と一緒に店を切り盛りするのは、二代目の康平さん。小さいころから父親の背中を見て育ち、東京の店で修業を積んだあと、およそ20年前にふるさとに戻ってきました。

--吉野康平さん(中華料理 華正樓 二代目店主)「親父も病気をしてしまったので、それも運命なのかなと。」

親子で順調に歩んでいた13年前、突然降りかかってきたのが「震災と原発事故」です。

--吉野康平さん(中華料理 華正樓 二代目店主)「外に逃げて、出前の車にみんなでしがみついて、立っていられなかった。」

店に大きな被害はなく、ほどなく再開しましたが、震災がきっかけで「地元の食材」の良さを改めて感じました。

--吉野康平さん(中華料理 華正樓 二代目店主)「それから地元の食材を使うことの意味というか、大切なことというか。地元が好きなんだなという再確認が出来たというか。」

震災の次に訪れた2度目の災害。それは、5年前の台風19号による「水害」です。大雨で4人が犠牲となった下平窪地区にある店舗は大きく浸水し、営業は中断。

--吉野康平さん(中華料理 華正樓 二代目店主)「寝たら僕の友達から電話がかかってきて、平窪は戻れないよ。2時間ぐらいかけてぐるっと回ってきて・・・(店を見たら)泣き崩れましたね。初めてです、膝から落ちるという感覚は。」