残る崩壊した建物 「人手不足」で進まない公費解体
小川彩佳キャスター:
能登半島の被災地からは、これまで懸命に耐えながら気丈に振る舞う皆さんの姿を多く見てきたように感じますが、半年経って聞く『助けてほしい』という言葉は、悲鳴のように胸に迫るものがあるように思います。
復旧・復興がなかなか進まない現状について、被災地の皆さんからはどんな声がありましたか。
藤森祥平キャスター:
「公費解体の遅れ」についての話がたくさんあり、手続きが非常に煩雑であること、解体作業をする人員が非常に不足しているという声が聞かれました。
日々、職員は受付作業を一生懸命やってくれているが、書類提出に何時間もかかったり、何度も行かなければいけなかったりすることもあり、結果、実際に解体作業が始まるのが数か月先になることもあるそうなんです。
取材した坂口竜吉さんは、「復興の道筋が見えないと時間が経つとともに、心のダメージがどんどん蓄積してしまう」「建物が崩れてしまったマイナスの状態を、いかに早く復興のスタートラインに立つゼロの状態に戻せるかが大きな鍵になる」と話していました。
復興ではなく、まだ復旧の状態だと私は受け止めました。

小川キャスター:
先が見えない中での苦しさというのがありますね。
喜入友浩キャスター:
公費解体が進んでいない背景には、人手不足があるようです。

輪島市や珠洲市は国や県などを通じ、全国の自治体に対して、「中長期の応援職員」を派遣するよう要望していますが、なかなか集まらないという状況です。
総務省の応援派遣室担当者は「他の自治体からはがしてもってくるのは厳しい」としています。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
自治体の人手不足に加えて、ゼネコン全体も人手不足になっているようです。能登半島地震の場合は旅館などが被災していることもあり、ゼネコン関係者によると、「被災地の近くに宿泊先が少ないため、移動に時間がかかり、マンパワーが少ない」ということです。マンパワーが圧倒的に少ないということが、今回の公費解体の遅れに繋がっています。
喜入キャスター:
政府は7月1日、「能登創造的復興タスクフォース」を発足させました。150人規模の職員を常駐させて、公費解体などの課題について、被災自治体を支援していくというものです。

星さん:
政府関係者とも話しましたが、一時しのぎにすぎないところがあるように思います。
自治体もゼネコンも人手不足という中、被災地からは「国が頼り」という声が出てきます。
基本的に国は常設の緊急対応部隊を作って、いざというときに出動できる体制を作る必要があるのではないでしょうか。地震や水害など、過疎地で起きる災害が予想されますので、新しい組織作りが大事だと思います。
今回、国は43兆円の防衛費を5年間で計上しますが、一部でも国民を災害から守ることに振り分けることも考える必要があると思います。