「寒さから身を守る」という役割は少なくとも、果たしようがない
ーー鳥肌って、そもそもどういう現象なのでしょうか。
皮膚の下に、立毛筋という小さい筋肉がたくさんあり、それが収縮することによって鳥肌が立ちます。

その時に、毛穴周辺の皮膚に高さの変化がでます。それによって、ボコボコとした皮膚が出現したように見えるんです。
ーーなるほど。それって、寒さから身を守るということでしょうか。
密集した毛が逆立つと、毛の間に保持された空気の層が厚くなり保温効果が得られますが、人間の身体の毛は細く短いので、このような効果はありません。
それでも、寒いときに立毛筋が縮んで鳥肌が立つのは、毛皮があったころの名残だと考えられます。
ーー鳥肌は現代の人間にとって、あまり意味のない現象ということなんでしょうか。
そうですね。寒さから身を守るという役割は少なくとも、果たしようがないというところだと思います。
「寒さ」以外の役割は?
ーー「寒さ」に関して、意味のない現象だということはわかりましたが、怖い話や生歌を聞いた時にたつ鳥肌は何なのでしょうか?
「感動して鳥肌が立つ」などの働きに関して、実は理由がよくわかっていないんです。ただ、毛を立てる以外の働きがあるのではないかと考えています。
ーー毛を立てる以外の働き…?
元々、寒冷刺激に対する反応だった鳥肌は、恐怖や感動を経験した時にも似たような仕組みを一部使う事で、鳥肌が立つようになったのかもしれません。
鳥肌が立つことと、怖さや感動などの感情が起きることが、人間の脳の中でどう結びついているのか。仕組みを解明することで、感動とはどのような反応なのかを明らかにすることができるかもしれません。