「そこまでやるか」…県側が質問削除を取材の条件に

県に対して「1月10日に知事インタビューの質問予定項目を出した時とは状況が違う」と訴え、質問項目の変更を要請した。県は当初「すでに締め切っているので対応できない」としていたが、最終的には変更を了承し、私は「政治とカネの問題について」を「自身の不記載問題について」にすると通告した。単独インタビューの場で独自に調べた疑問もぶつけるつもりだった。

山梨県庁での定例記者会見

2月5日から各社の取材が始まった。報道解禁が2月14日だったので、すでにインタビューを終えた社の取材内容を知ることはできなかったが、記者の会話の端々から知事側の穏やかでない雰囲気は十分感じられた。

そして2月7日の朝、電話の向こうの県の担当者は「不記載に関する質問を削除してもらいたい」「インタビューは公務に関することでお受けする。各社の質問に対しても答えられないと回答している」、そして「削除してもらえなければインタビューに応じられなくなる」と告げてきた。「質問を外さなければインタビュー自体できないってことですか?」と確認したが、「そういうことです」という答えだった。そこまでやるか、と感じた。

質問削除を断るとインタビュー自体がキャンセルに

「上のものと相談して回答します」と電話を切ったが、答えは決まっていた。そして覚悟も決まっていた。上司も同じだった。私は県の担当者に対し、「本当に質問を削除しなければインタビューはできなくなるのか」と再度確認したうえで、「質問の削除に応じることはできません」と告げた。

担当者が県の「上のもの」と相談してから出してきた答えは「そういうことであれば知事のインタビューはなしということで」であった。その後私は担当者と直接話をし、県側がほかにも数社に質問削除を要請していることを知った。「なぜうちだけインタビューできないのか」と問うたが、答えは「自身の不記載について、と書いてあるからだ」という事だった。「政治とカネについて、という事であれば一般論としての回答できます」という事だった。しかしながら、一般論で説明責任は果たせないのではないかと思う。