入念に準備して臨んだ裁判での「主張」
裁判の中で、かたくなに謝罪することを拒否し続けた上で「辛い思いをした遺族に応えるためにも『電磁波攻撃の被害』は事実だったと伝えたい」と主張した河野被告。その法廷では、被告人席に大量のファイルを積み上げ、裁判の最中も、それにしきりに目を通していた。
「裁判の中で、自らの言葉で主張しなければ、必要なことを言わなければいけないと思い、弁護士を通じて証拠資料を取り寄せて準備をしていた。それでも、全部で1900件ほどあった証拠資料のうち、取り寄せられたのは400件ほどだったが…」
「真面目で頑固そうな」性格が、裏目に出たのかもしれない。いびつな情報を正義と信じ、確信を深めるたびに対人関係での孤立を招き、狂気を正当化していった結果、取り返しのつかない悲劇へと繋がったのだろうか。
理不尽に命を奪われることとなった3人の無念さは、計り知れない。そして、殺害を成し遂げた河野被告もまた、今なお事件が「決着」に至ったとは考えていない。
どこにも救いを見出すことができなかった。