居場所としてのB型事業所 「儲けはなくても…」

studio753では日々、利用者自身がデザインも行っているので、個性的な色遣いでクオリティが高い製品が多い。

利用者のデザイン画

しかし、一点モノの作品となってしまい、大量生産はできない。

例えば、青森の伝統工芸「こぎん刺し」のヘアゴムは3人がかりで1日5個程度しか作れず、1個1000円で売っても、材料費を考えると儲けはほぼ出ない。

利用者に「もっと値段を高くしたら?」と職員が勧めても、売れない時の心配をしてしまい「儲けがなくても、買った人に使ってほしい」と言う人もいる。

それでも仕事で得たスキルを活かし、大手コスメティック会社やデザイン会社、農園、食堂に障害者雇用などで就職した利用者も何人かいるという。

studio753の所長で精神保健福祉士の梅津正史さんは「ここは能力が高い人が結構いるので、その人たちの意見も取り入れて作業を進めます」と説明する。

B型事業所の役割について、梅津さんは「仕事をこなすスキルはあるけれど普通の就労は難しい人も来るので、そういう人の居場所としての役割も大きい。本人が一番やりやすいことを考えて支援するのはB型の仕事だと思います」と話す。