物価高に伴う国民の不満を読み取れず「減税ブーム」に火
もっとも、財務省側に反省点がないわけではない。
2022年以降、日本でも2%を超える物価高に見舞われた。物価が上がれば支払う消費税の額は自動的に増える。さらに、収入が増えるほど税率が高くなる「所得税」の仕組みのもとでは、せっかく給料が上がっても多くの所得税を支払わなければならず、一向に「手取り」が増えない。国民の間でじわりと痛税感が高まっていった。
こうしたなかで、国民民主党の「手取りを増やす」政策が働く現役世代を中心に支持を集めていった。国民民主党はいわゆる「年収の壁」の引き上げや「ガソリン暫定税率」の廃止を掲げて躍進、「減税ブーム」の火付け役となった。

「物価高に対する税制上の手当てが遅れたことが、すべての引き金だった」と財務官僚は反省気味に顧みる。
2024年の総選挙で衆議院が少数与党になると、財務省はいわゆる「年収の壁」への対応による所得税減税や「ガソリン暫定税率」の廃止を次々と受け入れていった。それは「虎の子の財源である消費税を守るためでもあった」と財務官僚は振り返る。社会保障の財源である消費税は聖域であり、減税の火がつくことは何が何でも避けなければならない。そのためにできることはすべてしてきたということだ。
しかし、一度火がついた減税を求める世論の渦を止めきることはできなかった。