AI新興企業の米OpenAIは30日、中国の競合ムーンショットAI(月之暗面)が、同社のGPTシステムから大規模にデータを抽出しようとしたと非難した。抽出データは、OpenAIの最先端モデルの推論能力や機能を再現するのに使われる可能性があるという。

同社モデルの推論過程に関する非公開情報を、ムーンショットに関連するユーザーが引き出そうとする試みを数千件確認したと、ブログ投稿で明らかにした。データ取得の組織的な動きは7月上旬に始まり、同月後半には1万6000件でピークに達したという。全ての試みが同じ主体によるものとは確認できなかったが、ムーンショットに関連するユーザーが大きく関与していたとしている。

今回の動きは、中国のAI開発企業が「蒸留」と呼ばれる手法を使い、米企業の独自技術を組織的に取り込んでいるとの懸念を一段と強めるものだ。シリコンバレーの企業やトランプ政権は、中国勢がこうした手法を使って、米企業より大幅に低いコストで競合するチャットボットを開発していると主張している。

ムーンショットは画期的な「Kimi K3」の投入で、中国AIの実力を巡る従来の見方を覆した。米国勢との差を急速に縮めていることから、ワシントンでも警戒が強まっている。

蒸留は、最先端モデルの出力を使ってより性能の低いモデルを訓練する、AI業界では一般的な手法だ。ただ、産業規模で行われた場合、開発企業の利用規約に違反する可能性がある。OpenAIやアンソロピック、アルファベット傘下のグーグルは、中国企業などによる敵対的蒸留と呼ばれる行為への対抗策を共同で検討している。

OpenAIで戦略的国家安全保障政策イニシアチブを担当するキャロライン・ジアー氏は、「われわれが問題視しているのは、オープンモデルや正当な蒸留ではなく、利用規約への違反だ」と説明。「これは、米国があらゆる面で主導権を維持する上で共通の課題だ。そのため、他の開発企業や関係する政府機関と調査結果を共有しており、今後も防御強化への投資を続ける。われわれは、活発なオープンウェイト・モデルのエコシステムと、米国がその分野を主導することを支持している」と述べた。

ムーンショットの担当者は現時点でコメントの要請に応じていない。中国政府はこれまで、シリコンバレーの企業やトランプ政権による蒸留を巡る非難を退け、米政府が制裁措置を科した場合には対抗措置を取ると警告している。

原題:OpenAI Blames Moonshot for Mass Data Extraction on Its AI Models(抜粋)

--取材協力:Rachel Metz.

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