財務省の説得も虚しく「聖域」に穴

食料品の消費税減税を掲げて、2月の総選挙で自民党が圧勝した直後、財務官僚は「消費税減税ではなく、低中所得者に絞った『給付付き税額控除』に着地させたい。それが高市政権の長期安定にもつながる」と強い矜持を示し、なんとか総理を説得したいと話していた。
しかし、減税は「国民との約束だ」と位置付ける高市総理の決意は揺るがなかった。減税の方針が決まった瞬間に、先の官僚は「本当に決まってしまった。何のために今までやってきたのか」と力なく肩を落とした。
それは財務省にとって、消費税がいわば「聖域」だったからでもある。社会保障の財源として、1989年に導入されて以来、時には政権の命運をかけながら増税を行ってきた。今や消費税は所得税や法人税の基幹3税のなかで最も税収が大きく、安定的な税収を支える屋台骨を崩された衝撃は計り知れない。
そもそも消費税は、簡単には上げ下げできるものではない。レジシステムの改修も必要になるし、実施前後の「駆け込み需要」や「反動減」など経済的なデメリットも大きい。短期間での上げ下げとなれば、経済への影響はなおさら甚大で、減税で一時は生活が楽になったとしても、中長期的には国民ひとりひとりが悪影響を被ることになりかねない。