(ブルームバーグ):米国で2日発表された雇用統計が労働市場の弱さを示唆したにもかかわらず、フランスのチーフエコノミスト2人は、米金融当局が依然として年内に利上げを実施する必要があるとの見方を示した。
アリアンツとBNPパリバのチーフエコノミストによると、欧州中央銀行(ECB)は利上げを急いでおらず、すでに利上げ局面は終了している可能性さえある一方で、米国ではインフレ圧力が根強く、当局が対応すべき課題はまだ多い。両氏はフランス南部エクサンプロバンスで開かれたイベントでブルームバーグのインタビューに応じた。
アリアンツのルドビク・スブラン氏はブルームバーグテレビジョンに対し、「非農業部門雇用者数は実際には弱い内容だったが、インフレ率のピークはなお3.7%を上回ると考えており、AIや財政、エネルギーに支えられた経済が続いている」と述べた。「米連邦準備制度理事会(FRB)は9月に利上げを迫られる可能性がある。そこが欧州と米国の決定的な違いと言えるだろう」と語った。
7月4日の米独立記念日を前に、短期金利先物市場では、今月29日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げが実施される確率が約20%と織り込まれ、統計発表前の33%から低下した。市場では引き続き年内に0.25ポイント利上げの実施が見込まれているものの、その時期は12月以降になると予想している。
利上げの根拠揺るがず
BNPパリバのイザベル・マテオスイラゴ氏は、「雇用者数の伸びが13万人近く、あるいはそれ以上という非常に強い内容であれば、7月会合は極めて重要な会合となっていただろう」と述べた。「その可能性はおそらく低くなったが、私の考えでは、米利上げの根拠は少しも揺らいでいない」と語った。
米労働統計局(BLS)が発表したデータによると、6月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比5万7000人増加。失業率は4.2%へ低下した。
AXAグループのチーフエコノミスト、ジル・モエック氏は、足元の労働市場はなお堅調との見方では他のエコノミストと一致するが、金融政策の方向性が米欧で大きく分かれるかについては慎重な見方を示した。
同氏は、「インフレを巡る状況は欧州よりも米国の方がはるかに深刻だ」と指摘。「米国では金融政策はすでに引き締め的だった一方、欧州ではそうではなかった。したがって、両者とも現状を維持するだけでよいという議論も成り立つ」と述べた。
保険的な利上げ
今週のもう一つの注目材料となったユーロ圏のインフレ率は、6月に2.8%となり、市場予想を下回った。フランス、ドイツ、イタリアで予想以上にインフレが鈍化したことが背景で、いずれも中東紛争に終結の兆しが見え始めたことを受けた原油価格の下落が要因となった。
スブラン氏は、ECBは先月実施した利上げを最後に、追加利上げは行わないとの見方を示した。同氏は、「あれは保険的な利上げだったが、経済指標を見る限り、それで終わりのようだ」と述べた。
一方、マテオスイラゴ氏はより慎重な見方を示し、エネルギー供給の正常化が効果を表すまでには半年以上かかる可能性があり、ユーロ圏のインフレ率が再び加速する恐れもあると警戒感を示した。ただ、それでもエネルギーの影響を受ける分野以外で消費者物価への圧力が高まるとはみていない。
同氏は、今週ポルトガルで開かれたECB年次シンポジウムで、当局者が追加措置を示唆しなかった点を強調した。同氏によれば、ECBが9月に追加利上げを実施するとの見方が基本シナリオだが、「シントラで発言した当局者は、9月の追加利上げを見送る可能性も残していた点が印象的だった」と語った。
原題:Fed and ECB Seen Diverging in French Snapshot of War Aftermath
(抜粋)
--取材協力:Anna Edwards、Tom Mackenzie、Caroline Connan、Francine Lacqua.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.