(ブルームバーグ):ホルムズ海峡を通過する商業船舶はここ数週間で急増しており、米軍の支援を背景に、原油輸送量は日量1000万バレルを超えた。米政府当局者が明らかにした。
トランプ米大統領がイランとの暫定和平合意に署名して以降、通航量は戦争でまひしていた時期から大幅に回復した。この動きはイランにとって想定外で、ホルムズ海峡の通航を妨げる能力が限定的になっていることを浮き彫りにしたと、同当局者は米政府内の認識だとして匿名を条件に話した。その上で、海峡周辺で最近相次いだ攻撃にもつながったとの見方を示した。
イランは紛争中、ホルムズ海峡を封鎖することで交渉上の優位性を確保した。原油在庫の減少とエネルギー価格の高騰で戦争継続が政治的に困難となる中、トランプ氏は停戦と交渉を受け入れた。一方、イランは海上交通に対する一定の支配力を維持すると引き続き主張しており、将来的には一部の船舶に通航料を課す可能性も示唆している。
米国は停戦前から、イランの海峡支配を弱める措置を講じていた。米中央軍が航空戦力や海軍部隊を組み合わせた防衛態勢を整えたことで、海運会社はオマーン寄りのホルムズ海峡南側航路を通じた原油輸送に自信を深めた。
日量1000万バレルという数字は、ブルームバーグがこれまで報じた海運データとおおむね一致する。
ホルムズ海峡の航行を巡る問題は、今週カタールで開かれたウィトコフ特使とトランプ氏の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏ら米交渉団による間接協議でも主要な議題となった。協議ではイランの核開発能力に加え、ホルムズ海峡の通航を管理する権限の扱いが焦点となった。
同当局者によると、米国はイランに対し、覚書(MOU)の海運関連条項を順守するとともに、商業船舶の自由な通航を長期的に保証する合意を結ぶよう求めている。覚書では60日間の交渉期間中は通航料を徴収しないとし、その後の扱いについては今後の協議事項としている。トランプ氏とルビオ米国務長官は、最終合意で通航料や海運サービス料を課すことは受け入れられないとの考えを示している。
イランはこれまでのところ、ホルムズ海峡を巡る米国の要求を公には受け入れていない。

イランは先週、シンガポール船籍のコンテナ船を無人機(ドローン)で攻撃し、米国側の取り決めに違反した。この攻撃を受けて報復の応酬が起き、両国の停戦合意は揺らいだ。
トランプ氏が追加攻撃を見送り、交渉の継続を選んだことは、戦争に伴う経済的な打撃の拡大を避けたいとの考えを改めて示すものとなった。同氏は、1929年の株価暴落とそれに続く世界大恐慌の時代に大統領を務めたハーバート・フーバー氏のように記憶されることは望まないと語っている。
アナリストらは、こうした経済的・政治的な事情を踏まえると、イランが交渉を長引かせる可能性があると警告している。その結果、トランプ氏がイランに重要な譲歩を迫る力は弱まる恐れがあるという。ホルムズ海峡の通航回復は、米国とイスラエルが軍事行動を開始する前の状態に戻ったことを意味するものであり、新たな突破口を開いたわけではない。
原題:US Sees 10 Million Barrels Via Hormuz Sapping Iran Oil Leverage(抜粋)
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